警察署から出てきた男は周囲に鋭い視線を投げかける。護送車の後部座席に座っても、前方を睨みつけるようなふてぶてしい態度は変わらなかった――。 2月12日に送検された無職・草野友太容疑者(35)は、自身のSNSに高級ブランド品などの画像を投稿してド派手な生活をアピール。SNSに興味を持った人に近づき、架空の投資話への出資を募っていたという。逮捕容疑は詐欺だ。 「’23年3月から4月にかけて、草野容疑者はSNSで知り合った20代女性を『新型コロナで業績の悪化した企業を買収するために出資すれば融資金を分配する』『絶対に儲かる』などと持ち掛け、現金100万円ほどを騙し取ったとされます」(全国紙社会部記者) ◆〈おカネの奴隷から解放されよう〉 草野容疑者はすでに逮捕されている2人の男と共謀して犯行に及んでいた。SNSには、贅沢な暮らしぶりを自慢する文言が並んでいた。 「草野容疑者はSNSに〈おカネの奴隷から解放されよう〉〈ビッグウェーブに乗りたい方募集します〉などと綴り、高級時計や外車、豪勢な食事の様子、20㎝近く積み上げられた札束の画像などを投稿していた。虚偽の投資話を信じ込ませるために、華やかな生活をアピールしていたのでしょう。 これまでに、SNSに興味を持った100人以上と接触。1億2000万円ほどを詐取したとみられます。警察の調べに対し、草野容疑者は『詐欺とわかっていたがカネほしさに加担してしまった』と供述。犯行を認めているそうです」(同前) 神奈川県警の元刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が解説する。 「詐欺の手口としては典型的。話だけでは信じてもらえないので、SNSなどに『本当に儲かるんだぞ』とアピールするためにド派手な生活ぶりがわかる画像を投稿する。被害者は、巧みな話術と華やかな写真につい騙されてしまったのでしょう。 当然ですが、うまい話に対しては常に疑問を持つべきです。簡単に大金が手に入る投資話があったら、通常は見知らぬ他人に教えません。出資する前に、投資話を持ち掛けてきた人間が金融庁から認められて取引しているのか、許認可番号などを確認するなど細心の注意を払ってください」 警察は、草野容疑者の余罪についても捜査を進めている。