長野駅前で発生した殺傷事件から22日で1カ月です。容疑者は依然黙秘を貫いていますが、事件を巡る状況が徐々に明らかになってきています。 一方、市民の不安は続いているようです。 事件は先月22日、JR長野駅前で発生…男女3人が相次いで刺され、1人が死亡しました。 この事件で、長野市の無職・矢口雄資容疑者(46)が重軽傷を負った2人に対する殺人未遂の疑いで逮捕されています。 こちらは、事件発生当初の救急隊の動きを記録した文書です。 消防への最初の通報は、午後8時7分でした。 ■通報内容 「男性、腹部を刺され意識・呼吸なし」 通報から5分ほどで現場に到着します。 すると… ■記録文書内容 「周囲から『もう一人刺された人がいる』との言葉が聞こえたため、指令官制員に救急隊の増隊要請を実施」 「更にもう一人、傷者がいる」との情報があったため、救急隊の増隊要請を鶴賀消防隊長に依頼」被害者の把握について、混乱していたことが分かります。 そんな状況下でも現場到着からおよそ4分後には、最初に襲われた男性を救急車で搬送しました。 その後、他の被害者の搬送へと続きますが… ■記録文書内容 「刺した人物の確保が不明との情報により、早期車内収容と現場離脱を判断」 犯人が逃走していたため、救助作業は緊迫していました。 後続の救急隊は、刃物による攻撃から体を保護する「防刃ベスト」を着用したということです。 矢口容疑者は犯行後、長野駅の南側に逃走… abnは、新たに、逃走直後の容疑者とみられる人物を目撃した女性に話を聞くことができました。 ■インタ110442 「まずは歩き方、左手をぴたっと体につけて右手だけ振って歩いていたから、それが不思議で… 犯人の歩く姿がテレビで流れた時に、歩き方、足の運び、洋服のバランスを見て、『あれ、あの時のと同じだ』という感じで… 警察へ電話を入れました。警察犬と警察の方が、その人が歩いていた道をずっと歩いてきた。それでやっぱり、あの道を通っていたのかなと」 さらに、容疑者とよく似たある特徴が… ■インタ110644 「白っぽい、ネズミ色っぽいような… 帽子だか何か、頭にのっていました」 捜査関係者への取材で、容疑者は犯行後、頭に巻いていた白いタオルのような布を逃走中にはずし、犯行現場に向かったルートとは異なる経路で「遠回り」する形で帰宅したことが新たに分かりました。 容疑者が住むアパートの郵便受けには… ■付箋の文言 「父より、郵便受けの中を見てください。また電話もお願いします」 父親が残したと思われる付箋のメッセージが事件後も貼られたままでした。 矢口容疑者はいまも黙秘を続けていて動機は分かっていませんが、生活に困窮した末に通り魔事件を起こした可能性もあるとみられています。 捜査関係者によりますと、生活保護を受給していて、電気や水道が止まった状況だったことに加えて、所持金は数十円しかなかったことが新たに分かりました。 事件発生から22日で1カ月を迎えますが… 長野駅前ではいまも警察官が見回りをしたり、盾などを持って立っていたりします。 警察は、市民からの不安の声がいまも寄せられているとして、朝の通勤・通学や夕方の帰宅ラッシュの時間帯、長野駅前を中心に警察官を配置しているということです。 長野市教育委員会によりますと、事件の後、不安から学校を休んだ児童・生徒は延べ4859人。 容疑者が逮捕された後でも直近だと先月31日に2人が登校できませんでした。 また、県や長野市が設置している事件に関する不安などの相談窓口には、19日時点で合わせて88件の電話があったということです。 やはり容疑者の逮捕後でも… ■長野市保健所への相談内容 「子どもの送迎をしているので不安」 ■長野市保健所への相談内容 「夜、外出するのが怖い」 県の相談窓口には、(18日)にも電話があったといいます。 ■県への相談内容 「今も事件のことを考えてしまって眠れなかったりする」 長野市や県は「ひとりで不安や悩みを抱え込まず気軽に相談してほしい」としています。