覚醒剤の組織的な密売に関与したとして、指定暴力団稲川会大場一家系組員ら男女22人が静岡県警に覚醒剤取締法違反などの疑いで摘発された事件で、大場一家系組員で無職の男(49)=富士市松岡=ら売人側が、県内の買い受け客の大半と長期間にわたり、複数回取引を重ねていたとみられることが27日、県警への取材で分かった。顔見知りの関係性を踏まえて後払いを認めるなど、「常連客」をつなぎとめる工作も図っていたとされる。富士署と県警薬物銃器国際捜査課は、密売で得た多額の収益が暴力団組織に流れていたとみて全容を解明する。 男は客から携帯電話で依頼を受けると、人目のつかない場所を指定して直接会い、運転してきた車の窓から手渡しする手口などで密売を繰り返していたとされる。覚醒剤は依存性が高く、客は常連の場合が多い。顔見知りで“信頼関係”が構築されていたことから、後から代金をまとめて支払うこともあったという。 売人側で他に逮捕されたのは大場一家系組長の無職の男(50)=静岡市駿河区南安倍=、大場一家幹部の無職の男(50)=沼津市下香貫石原=、会社役員の男(40)=静岡市駿河区有東=、会社員の女(51)=富士市松岡=の4容疑者。大場一家系組長、大場一家幹部は男より立場が上で、密売の指示をしていたとされる。 富士署などは、覚醒剤を買い受けた県内外の40~60代の男女17人も逮捕していて、任意捜査での摘発者を含めると、一連の事件で判明した客は数十人に及ぶ。 客からの突き上げで内偵捜査を進めてきた県警は2024年12月2日、会社役員の男名義で契約されていた富士市内の倉庫など複数箇所を一斉に家宅捜索し、覚醒剤320グラム(末端価格約2千万円)や現金計600万円を押収した。