令状の発付や執行、オンラインで可能に 刑事手続きデジタル化関連法案が閣議決定

政府は28日、逮捕状や家宅捜索に必要な令状請求のデジタル化を盛り込んだ刑事訴訟法などの改正案を閣議決定した。デジタル化されることで、紙や対面を原則としていた刑事手続きは大きな転換点を迎えることとなる。今国会で成立すれば、令和9年3月までに施行される。 現行制度では緊急性の高い事案や遠隔地での捜査であっても令状請求をするために裁判所に出向く必要があるが、デジタル化が実現すれば、令状の発付と執行はいずれもオンラインで可能になり、移動時間を省略できる。通信記録などの照会も、事業者の窓口に出向かずに提供を求められるようにする。 また、「ウェブ口頭弁論」解禁など、民事訴訟で先行して進んでいるデジタル化を刑事訴訟にも拡大。けがなどを理由に被告人や証人が出廷できない場合、ビデオ会議による出廷を認めるほか、事務手続きの効率化のため、弁護人がオンラインで訴訟資料を閲覧・謄写できるようになる。 一方で、デジタル化により、令状などの電子データが偽造される可能性もあることから、電子データに対する文書偽造罪なども創設する。法務省の担当者によると、これにより、他人に成りすまして電子データを交流サイト(SNS)に投稿した場合、文書偽造罪を適用できる可能性もあるという。 刑事司法のデジタル化を巡っては、法制審議会(法相の諮問機関)の部会が5年12月に要綱の骨子案をまとめていた。政府は6年6月、6年度中の関連法案提出を目指すことと、8年度中に一部運用開始する方針を閣議決定していた。

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