【ソウル=桜井紀雄】韓国で弾劾訴追された尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の権限を代行する崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政相は1日、日本統治下の1919年に朝鮮半島で起きた「三・一独立運動」を記念する政府式典で演説した。崔氏は日本との関係について「厳しい国際情勢に効果的に対応するためには、韓日間の協力が絶対必要だ」と強調した。 日韓が今年、国交正常化60周年を迎えるのを機に「過去の傷を癒やしつつ、韓日関係の新しい章を開いていくことを期待する」とも述べた。尹氏のこれまでの演説同様、歴史問題に絡め日本を非難することはなかった。 日韓関係の改善に注力してきた尹氏は、昨年12月の「非常戒厳」宣布を巡って弾劾訴追や逮捕・起訴され職務停止中。弾劾審判で罷免され、政権交代があれば、関係強化の流れが後退することも懸念されている。 崔氏は戒厳後、国内の対立が一層深刻化している状況を受け、「危機を克服し、未来世代に誇れる祖国をつくるため、何よりも重要なのは国民統合だ」と訴えた。 核・ミサイル戦力の増強を急ぐ北朝鮮の問題に対しては、米韓同盟に基づく確固たる対応態勢を維持し、「北の挑発を抑止」しながら「対話の道は常に開き、統一に努力していく」と強調した。 この日午後には、尹氏の弾劾を求める団体と弾劾に反対する団体がそれぞれソウルで大規模なデモを計画している。