愛媛県発注の公共工事をめぐる入札情報漏えい事件で新たな展開です。久万高原町内の別の工事についても、非公表の価格を漏らすなどしていた疑いで、県の元課長やOBら4人が再逮捕されました。 官製談合防止法違反などの疑いで再逮捕されたのは、県中予地方局建設部の管理課付で河川砂防課の元課長・鈴木俊博容疑者(58)です。 また、久万高原町にある久保建設の社長・久保陽生容疑者(61)と、従業員の大西聖容疑者(42)、それに県のOB・宮崎裕文容疑者(61)も、公契約関係競売等妨害の疑いで再逮捕されました。 調べによりますと、鈴木容疑者は、県の久万高原土木事務所の建設課長を務めていた去年2月下旬ごろ、久万高原町内の道路災害防除工事の入札に関する非公表の価格情報を漏らし、久保建設に落札させた疑いが持たれています。 警察によりますと、鈴木容疑者は非公表の価格情報を県OBの宮崎容疑者に伝え、宮崎容疑者は、その情報を久保建設従業員の大西容疑者を介して社長の久保容疑者に伝えたということです。 警察は、捜査に支障があるとして4人の認否を明らかにしていません。 4人は、同じく県が発注した久万高原町内の急傾斜地の崩壊対策工事をめぐる入札情報漏えいの疑いで、2月12日に逮捕されていました。 鈴木容疑者は、2月12日に逮捕された際は、県中予地方局建設部の河川砂防課長を務めていましたが、2月21日に管理課付となっています。 また、県OBの宮崎容疑者は、務めていた松山市内の建設関連の会社を2月25日付で退職したということです。 事件が別の工事に拡大したことに、久万高原町の人は…。 久万高原の住民 「不正をするとは信じていなかったので、びっくりなんですけど、残念です」 今回、入札情報が漏れた疑いが持たれているのは、久万高原町本組の国道494号沿いの、斜面が崩れるのを防ぐ工事です。 工事区間はおよそ60メートルで、崩れるおそれがある国道脇の斜面にアンカーと呼ばれる鋼材を打ち込んで安定させる工法だということです。 工事の一般競争入札は、2社が参加して去年3月に実施され、久保建設が非公表の調査基準価格をおよそ4万円上回る3767万7000円で落札していました。 工事は去年3月末に着工し、現場の作業はすでに終わり、県の検査を待っている状態だということです。 県によりますと、2月に捜査のメスが入った急傾斜地の崩壊対策工事と、新たな事件の舞台となった道路災害防除工事ともに情報が漏れたのは、調査基準価格とみられています。 調査基準価格は、工事が適正に行われる目安となる最低限の価格で、下回ると落札が保留となりますが、いずれも、すれすれの価格で久保建設が落札していました。 町内の建設関係者は、久保建設による県発注工事の不自然な落札が続いていたと指摘します。 久保容疑者を知る人 「久保建設だけは数年ギリギリのところ(価格)を攻めても“ドボン”はなかった。久保建設だけは目の当たりに落札率が高かったから、それはやっぱりお墨付きがあったとしか考えられない。結局は3人ともブレーキがきかなかったということ、ブレーキがきかなかったということはまだまだ余罪がある」 警察は、情報の見返りが無かったかどうかを含め、事件の全容解明を進める方針です。