ソウル高等検察庁令状審議委員会(審議委)は6日、盗聴防止機能付き電話(秘話フォン)の情報の削除を指示し、大統領の逮捕状の執行を阻止した疑いのかけられている大統領警護処のキム・ソンフン次長らの拘束令状を検察が請求すべきだと判断した。ソウル西部地検が警察からの拘束令状申請を棄却したことで「キム・ソンフン見逃し」批判が広がっている中、検察の外部委員が警察の主張を認めたのだ。警察は近く、キム次長らの拘束令状を再申請する方針だ。 審議委は6日、ソウル瑞草洞(ソチョドン)のソウル高等検察庁の庁舎で会議を行い、9人の委員中6人の賛成で、キム・ソンフン次長とイ・グァンウ警護本部長の拘束令状の請求は「適正」だとする結論を下した。警察庁国家捜査本部非常戒厳特別捜査団(特捜団)は、3回にわたって申請した2人の拘束令状が検察の段階で相次いで棄却されたことに対し、先月24日にソウル高検に令状審議を申請した。令状審議は、警察の申請した令状を検事が裁判所に請求せずに棄却した際に、管轄の高検に設置されている審議委で検察の処分が適正だったかを審査する制度。 警察からはこの日、特捜団の3人の関係者が審議委に出席し、非常戒厳時に使われた盗聴防止機能付き電話の情報の削除を指示した疑いなどをあげ、キム次長らによって証拠が隠滅される懸念について説明した。特捜団は、すでに確保している警護処の内部文書も審議委に提示したという。この文書には、キム次長に盗聴防止機能付き電話の情報の削除を繰り返し指示されたことに対し、警護処の実務者たちが証拠隠滅に当たることが懸念されるとまで述べ、それを拒否したとの内容が記されている。 警察特捜団はキム次長とイ本部長の拘束令状を3度も申請したものの、その度に検察によって棄却された。1度目の申請は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の逮捕状の執行を阻止した疑い(特殊公務執行妨害)によるものだが、西部地検は「再犯の恐れはない」として棄却した。警察は続いて、キム次長が警護処の実務者に盗聴防止機能付き電話の情報の削除を指示した状況を犯罪事実(大統領警護法上の職権乱用)として拘束令状を再申請したが、検察は補強捜査を要求して差し戻した。警察は、キム次長らの事務所や自宅などに対する強制捜索を経て3度目の申請をおこなったが、検察は、すでに発給されて執行された「尹大統領の逮捕状に刑事訴訟法110条(令状執行拒否)の例外事項が付記されているため、犯罪に故意があったかについては争いがある」という荒唐無稽な理由までつけて棄却した。「キム・ソンフン警護処長職務代理体制」を維持することで、検察は警察による内乱捜査を妨害しているとの批判が拡大している理由はここにある。 警察は近く、2人の拘束令状を再申請する予定だ。警察特捜団は「警察の拘束令状申請は正当だったということが認められただけに、これから具体的な捜査計画を検討する」と表明した。西部地検の関係者は「規定上、検察は令状審議委員会の決定には拘束されないが、尊重することになっている」として、「今回の決定を尊重し、後続手続きを進める」と述べた。 警察特捜団は先に、警護処に対する強制捜査で尹大統領の盗聴防止機能付き電話の通話記録の確保を試みたが、警護処長職務代理を務めているキム次長がその度に家宅捜索令状の執行を拒否したため、失敗に終わっている。キム処長らの拘束令状が裁判所から発行されれば、警護処の家宅捜索も道が開けるとみられる。 イ・ジヘ記者 (お問い合わせ [email protected] )