尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束取り消しを決めたソウル中央地裁刑事25部のチ・グィヨン裁判長が執筆に参加した刑事訴訟法の解説書に「拘束期間の計算は時間ではなく日とする」と明示されていたことが確認された。1954年の刑事訴訟法制定後、裁判所と検察が70年以上適用してきた日付単位での拘束期間計算法が、尹大統領から時間単位に変わるという裁判所の判断をめぐり議論が膨らんでいることで、裁判所内部でも「尹錫悦計算法」が刑事訴訟法の趣旨と衝突するという批判が出ている。 2022年10月、韓国司法行政学会は「注釈 刑事訴訟法」(第6版・847ページ)を発刊した。ノ・テアク最高裁判事が編集代表を務め、チ・グィヨン最高裁判所裁判研究官(当時)など刑事裁判の実務に詳しい現職判事17人が執筆に加わった最新版だ。刑事訴訟法第66条「期間の計算」の条項の注釈は、期間の趣旨▽期間の種類▽期間の計算方法▽期間の起算点と満了点▽最高裁の判例で、4ページにかけて詳しく説明している。 注釈書には「日を単位とする期間には捜査機関の拘束期間、裁定申請期間、上訴提起期間などがある」とし、拘束期間は日付単位での計算法に従うと明示されている。一方、時間単位での計算が適用される期間には「逮捕期間、緊急逮捕後の拘束令状請求期間、現行犯逮捕後の拘束令状請求期間、拘束通知期間などがある」としている。時間単位が適用されるさまざまな拘禁関連の期間を明示しながらも、尹大統領の拘束取り消しの根拠となった拘束前被疑者尋問に関する言及はない。 ノ・テアク最高裁判事は本書の冒頭で「『注釈 刑事訴訟法』は1976年の初刊行以来、最高権威の注釈書であり、実務指針書となった。改正版には検察・警察の捜査権調整などによる刑事訴訟法改正、高位公職者犯罪捜査処設置などにともなう捜査・裁判実務の変化を新たに反映した。また、専門性を備えた実務家を中心に執筆陣を構成し、刑事訴訟の実務で具体的に問題になってきた争点を中心に、客観的で中立の立場から紹介・説明することに重点を置いた」と述べている。 拘束期間の解説は、チェ・スンウォン釜山(プサン)高裁判事(昌原裁判部)が担当した。チ・グィヨン部長判事は再審に関する執筆を担当したが、共同の注釈書は自分が執筆していない内容も相互監修などをする。10日、チ部長判事に対し、注釈書の発刊後に拘束期間の判断に変化があったのかを尋ねた。チ部長判事は「これまで拘束期間の計算法を問題視する人はいなかったが、今回初めて(尹大統領の)弁護団から問題提起をされた。このような問題があることを知り、答えなければならない状況になった」と述べた。さらに「裁判部の判断が絶対的に正しいということではなく、公の批判と議論には開かれている」と述べた。 すぐに裁判所内部から実名の批判が上がった。釜山地裁のキム・ドギュン部長判事はこの日、裁判所の内部ネットワーク(「コートネット」)に掲載した「拘束取り消しは遺憾」と題する文で、「検事の拘束期間は10日の『日数』が決まっているだけで、240時間とは規定されていない。今回の決定は、その趣旨にもかかわらず法理的・制度的に多くの問題を抱えている」と述べた。 キム・ナミル、キム・ジウン記者 (お問い合わせ [email protected])