手軽なライブ配信 普及進むも、個人情報には注意必要と専門家 東京・高田馬場の刺殺事件

「配信を見て場所を探し当てた」。東京・高田馬場で動画配信中だった佐藤愛里さんが刺殺された事件では、逮捕された高野健一容疑者がこう供述し、ライブ配信で居場所を特定したと明かしている。スマートフォンや専用アプリの普及などにより、誰もが気軽に行えるようになったライブ配信だが、犯罪に悪用される危険性が改めて浮き彫りとなった。専門家は注意を呼びかける。 佐藤さんは動画配信アプリ「ふわっち」で、「最上あい」という名前で活動。事件当日は「山手線徒歩1周」と題した企画で、歩きながら生配信を行っていたとされ、高野容疑者は前日に佐藤さんの配信予告を確認、事件当日の朝に自宅のある栃木県から東京都に移動したと供述している。 ライブ配信は、編集した映像のアップロードとは異なり、配信者が視聴者とリアルタイムでつながるのが特徴だ。ユーチューブ、インスタグラム、TikTok(ティックトック)にもライブ配信機能があるほか、ふわっちのように、ライブ配信に特化したアプリも複数存在する。配信中に金銭を寄付する「投げ銭」など、収益システムも整備されている。 社会情報学を専門とする国際大の山口真一准教授は、こうしたライブ配信について、「技術の進歩で誰もが簡単に配信を行えるようになった上、マネタイズシステムが導入されたことで普及が進んだ」と指摘。その上で、今回の事件を受け、「配信する側はリスクを理解した上で、配信中に自身の場所の特定につながるような背景の映り込みを防ぐなど、一層の注意を払う必要がある」と話した。(前島沙紀)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加