闇バイト初犯で懲役3年…男性が語った恐怖「実家どうなってもいいの?」「逃げたら家燃やす」

闇バイトによる特殊詐欺で実刑判決を受けた男性がABEMA的ニュースショーの取材に応じ、犯罪の実態を語った。 「私はこうして3年の懲役となりました」と語るのは闇バイトで実刑3年のAさん(30代)。今回のインタビューを受けた理由について「自分が少しでも発信することによって、どの媒体でもいいからそれを聞いて、ちょっとでも思いとどまるような人がいればいい」と説明。Aさんはわずか5日間、特殊詐欺に闇バイトで加担し、初犯にもかかわらず懲役3年の実刑判決を受けた。 Aさんは北海道で一人暮らし。2020年3月に仕事を辞めて、お金に困っていたそうで「当時のTwitterで『何か仕事ないかな』とつぶやいたときに、『いい仕事ありますよ』っていうところから始まりました。夜につぶやいてその日の夜には話していたので、1時間もないぐらいで反応があった」と振り返った。 その後、秘匿性の高いアプリ「テレグラム」に誘導されたAさん。仕事はパソコンでできると聞かされており、社員にしたいと言われ免許証や公共料金の支払い書、さらに緊急連絡先として実家の情報を伝えた。 続いてジャケットや革靴、ハサミ、封筒、カードといったものを用意してほしいという指示が。準備金として5万円が振り込まれたが、その後状況が一変したという。 「『コンビニ行ってこの番号をコピー機で打ち込んで』と言われて、それを打ち込んで出てきたのが、自分が警察のフリした身分証明書の写真で『これはなんかやばいやつに引っかかったかも』という風にはなりました」と語ったAさん。 「辞めたい」と伝えたものの、「もし、逃げたりしたら家燃やしに行く」「実家どうなってもいいの?」と脅迫され「正直本当に怖くなっちゃった」と、逃げられない心理状態に追い詰められていたことを明かした。 Aさんは「『これから老人の家に行って、キャッシュカードを盗んでくる仕事』と言われて、『じゃあもう、現場向かってください』みたいな感じだった。最初は自分が住んでいる町でやってと言われたが、『自分の町は怖すぎる』と言って、2つ隣の町を指定してきて」と告白。 その後、指定された町に移動するまでのおよそ1時間の間に、“かけ子”たちがひたすら高齢者に電話。キャッシュカードを騙し取れるターゲットをその場で探し出していたという。 「道中向かっている最中も『本当にやりたくないです』と、ずっと伝えながら移動した。でも『辞めたらわかってるよね?』と言われたり、『大丈夫、君ならできる』みたいな、変なアメとムチを使われていた」と振り返ったAさん。 やらされた仕事は、受け子と出し子。指定された住所に行き、ターゲットからキャッシュカードを盗み、おろしたお金を駅のロッカーに入れる仕事だった。 「イヤホンマイクで指示役と繋がっていて、だから僕は指示役に言われた通り喋って、言われた通りの手順でキャッシュカードを盗む」と、Aさんは遠隔から指示されながら犯行を行ったという。 犯行の手口については「封筒とカードを忍ばせておく、現場に行って空の封筒を出して、被害者の方のキャッシュカードを目の前で入れる。入れて封をして『これは大事なものになりますので、実印を持ってきてください』と言う。実印というのは大体タンスとかにしまってあって、目を離した隙にすり替える。実印を押したところで『これは1週間、開けないでください』といって『じゃあ失礼します』っていう感じ」と、生々しく証言した。 最初に渡された準備金で用意した封筒やカードは“すり替え”の道具。あらかじめダミーのカードを入れた封筒を用意し、被害者が目を離した隙に、キャッシュカードが入った本物の封筒と入れ替えて騙し取ったという。 キャッシュカード受け取り上限の50万円まで引き出すと、犯行グループからは「(残高が)50万円超えていたら咳払い1回、50万円超えていなかったら咳払い2回」という指示が。ATMの前でスマホで通話などすると周囲に怪しまれるため、指示役からの質問は常に二択。咳払いの数でその質問に答えさせられたという。 さらに、降ろした金を詐欺グループに受け渡す際には「お金はお菓子の箱の中。まず封筒にお金を入れて、(お菓子)の箱の中身を抜いてお金を入れて、ロッカーに入れる」と説明。周囲から見られたときに怪しまれないよう、封筒の中に入れたお金をお菓子の空き箱に入れ、受け渡しするよう指示されたそう。 Aさんは5日間で6件の犯行に関与しておよそ1200万円を騙し取り、報酬として60万円ほど受け取ったという。Aさんは1カ月後に逮捕、初犯でしかも反省の態度を示していたが、懲役3年の実刑判決となった。両親は泣き崩れていたという。 刑務所での生活については「僕はMAXで4人。トイレしている姿も見える。プラスチックの透けている窓があって全部見られるし、嫌がらせがあったりとか、受刑者同士でケンカだったりとか」と振り返った。 そんな刑務所生活のなかで、特殊詐欺で逮捕された人間と数多く出会ったという。「タイで一斉摘発された時期があって、その一部とかも来ていた」と語るAさんは、唯一受刑者同士で会話ができる運動時間に「なんでやったの?」と話すなどして“探り合い”をしていたそう。 2023年3月に出所、迎えに来た両親の姿を見て、今度はAさんが泣き崩れたそう。現在はキャンプ場の仕事に従事して、被害者におよそ100万円を返金した。Aさんは、あのときなぜ警察に相談できなかったのだろうかと後悔している。 「もちろん、いま考えれば『絶対おかしい』というのはある」と前置きしながらも、「『指示は完ぺきだし、絶対君は捕まることはない。警察にも裏で根回ししているから大丈夫』みたいなことをずっと言われる。自分が警察に行ったとしても、親のほうで何かあったら嫌だとか…。警察に行くのも怖かった」と振り返った。 (『ABEMA的ニュースショー』より)

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