八代英輝弁護士 ライバー刺殺受け…判決後の実情解説「執行ができなかったら、勝訴の判決は紙切れに」―

弁護士の八代英輝氏が13日、TOKYO MX「堀潤Live Junction」(月~金曜後6・00)に生出演し、東京都新宿区の路上で11日、女性が男に刺され死亡した事件について自身の見解を示した。 女性は東京都多摩市の職業不詳佐藤愛里さん(22)。「最上あい」の名義で動画配信する人気ライバーで、インターネットで動画の生配信中だったとみられる。通報で駆けつけた警視庁の捜査員が、現場にいた栃木県小山市の職業不詳高野健一容疑者(42)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕。同庁捜査1課は容疑を殺人に切り替えた。捜査1課によると、2021年に動画配信を通じ佐藤さんを知り、22年ごろから金を貸すようになったと供述している。 高野容疑者は、生活費や携帯電話代などの名目で、佐藤さんに総額254万円を貸したと供述。一昨年8月に返済を求めて提訴し、宇都宮地裁は一部返金分を除く約250万円の支払いを命じた。しかし、高野容疑者の供述によると、佐藤さんからは返金はなく、連絡も取れなくなっていた。 裁判で勝訴したにも関わらず、問題は解消されず、高野容疑者は「金を返さないのに今後も配信で稼いでいくと思うと、やるせなくてやった」と供述している。 八代氏は「実際、裁判の結果というのは私有財産、主権を大きく制限するものなので、手続保障というものが何重にもされている」と解説。「判決を取ったら、普通はそれが実現されるだろうと多くの方が思われるんですけど、実際そこから何段階もあって、強制執行をするには執行官に申し立てをする必要がある」と、煩雑な手続きを説明した。 さらに「執行ができなかったら、勝訴の判決は紙切れになってしまいます」とも指摘。「被告が住所をくらませてしまうとか、そうなった場合に、自力救済以外に救済をする手段はどういうふうにすればいいんだろうというのは、今も抱えている問題だということは言えるんじゃないかな」と、こうしたケースでの問題点を挙げていた。

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