「ルフィ」を名乗る指示役らによる広域強盗事件の被害金がマネーロンダリング(資金洗浄)されたとみられる事件で、詐欺容疑で逮捕された樋口拓也容疑者(37)らの犯罪グループが仮想通貨(暗号資産)の流れを匿名化する「ミキシング」という手法で資金洗浄したとみられることが捜査関係者への取材で判明した。警視庁捜査2課はグループが資金の流れを隠すために、この手法を使ったとみている。 樋口容疑者ら3人は2023年4月中旬ごろ、千葉県の60代男性に架空請求をして約120万円をだまし取ったとして逮捕された。また、ルフィグループによる被害金のうち約1000万円が当時都内にあった樋口容疑者宅に運ばれていたという。 捜査関係者によると、樋口容疑者らはだまし取った被害金などについて、出所が分かりにくくなくなるように組織的な資金洗浄も繰り返していたとされる。その中で、不特定多数の取引情報を混ぜ合わせることで匿名性を高めるミキシングを悪用していたとみられる。 仮想通貨はインターネット上のブロックチェーン(分散型台帳)により取引が記録され、資金の流れが追跡できる。だがミキシングを使い、膨大な取引履歴の中に紛れさせれば、取引が追跡しづらくなる。 樋口容疑者らが特殊詐欺の被害者に現金を振り込ませた銀行口座は、仮想通貨の口座とひも付き、入金されると仮想通貨に換金される仕組みになっていた。 その後、樋口容疑者らは換金された仮想通貨を多数の口座に分散させたり、海外の取引所を経由したりしていた。この過程でミキシングを使い、資金の流れを分かりづらくさせていたという。 警視庁は、分析能力が高い警察庁のサイバー特別捜査部の協力を得ながらミキシングされた送金履歴を解析。最終的に樋口容疑者の仮想通貨口座に資金が集められ、その後現金化された経緯が判明した。 警視庁は樋口容疑者らが「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」とみて、ルフィグループとの関連や資金洗浄に関わった経緯を調べている。【山本康介、長屋美乃里】