【AFP=時事】ドミニカ共和国当局は隣国ハイチからの不法移民の強制送還の一環として、産科病院での摘発に着手し、妊産婦や新生児を逮捕している。 ドミニカ共和国はカリブ海のイスパニョーラ島の東3分の2を占め、西はハイチと接する。 摘発初日となった21日、各地の産科病院で妊産婦87人、子ども48人が逮捕された。妊産婦の半数以上は妊婦で、残りは産婦だった。 AFP記者は、首都サントドミンゴの病院から、赤ちゃんを腕に抱いた女性3人が移民当局の職員に連行されるのを確認した。 ルイス・アビナデル大統領は2020年の就任以来、ハイチからの移民に対して強硬姿勢を取っている。 ドミニカ共和国政府は、移民は医療を受けることができるが、不法滞在が発覚した場合、直ちに強制送還されると述べている。 移民当局は21日に逮捕された女性たちについて、拘置所に連行して指紋を採取し、写真を撮影したと説明。「尊厳を持って扱われ、食事も与えられた」と付け加えた。 妊娠中の友人の付き添いとしてサントドミンゴの病院を訪れていたハイチ人女性のダリナ・パイさん(26)は、ドミニカ共和国政府がきちんと手順を踏まずに即決で移民を強制送還していると批判。「これは不当だ、虐待だ。子どもたちに罪はない」と訴えた。 さらに、強制送還された女性の中には、長期的なケアと経過観察を必要とする人もいたと続けた。 ドミニカ共和国は今年1~3月、ハイチ人8万6000人を強制送還しており、2024年の27万6000人を上回るペースとなっている。 アビナデル大統領はハイチ国境の壁54キロを延長する計画を発表しており、最近は国境に軍を増派した。 同大統領が今月発表した新たな手続きでは、医療従事者は移民に対し、身分証明書と雇用証明書、居住証明書の提示、医療費の支払いを求めなければならない。 移民局のルイス・ラファエル・リー・バエステル局長は報道陣に対し、「在留資格を持たない人々は母国に送還する」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News