六代目山口組上層部に“激震人事”…竹内照明若頭補佐の「若頭昇格」の裏にある“七代目組長への布石”

国内最大の暴力団・六代目山口組が突如として動き出した。 組織のナンバー2である若頭・髙山清司が新設ポストの『相談役』に就任し、後任には若頭補佐の竹内照明が昇格すると決定したのだ。この最高幹部クラスの人事は4月18日付で執行部から傘下組織に通達がなされた。 六代目体制は’05年の発足から今年で丸20年を迎える。司忍組長は83歳、髙山若頭は77歳になっており、65歳の竹内へ世代交代を図ることも視野に入れた動きとみられる。今月7日には神戸山口組との『分裂抗争』について、一方的な終結宣言とも受け止められる宣誓書を兵庫県警に提出しており、人事とともに、抗争の行方についても警察当局は注視している。 ’15年8月から続く『分裂抗争』では、六代目山口組と神戸山口組の双方で数十人が死傷した。分裂時には六代目山口組の構成員は約6000人で神戸山口組は約2800人と勢力差はほぼ2対1だった。しかし、警察庁が取りまとめた’24年末時点のデータによると、六代目山口組は約3300人、神戸山口組は約120人となり、勢力差は大きく開いている。 抗争をウォッチし続けてきた首都圏に拠点を構える指定暴力団の幹部は、「最近は神戸(山口組)側の反応がない。対立抗争の決着はついているようなもの」と指摘。その上で、今回の人事・終結宣言の裏にある“狙い”について次のような見方を示した。 「司組長は高齢のため禅譲したいのだろう。つまり、これらは竹内若頭を新たな七代目に据えることを想定しての動きと言える。だが、神戸山口組の解散と組長の井上(邦雄・76)の引退などで、抗争を完全に終結させてから七代目体制へと移行させないと、今の中途半端な状態では神戸(山口組)の存在を認めたことになる。そのために一方的な終結宣言をして、抗争に区切りをつけたのではないか」 ◆「抗争はまだ終わっていない」 本格化しつつある七代目体制への動き。そのための布石となった六代目山口組の終結宣言について、警察当局の捜査幹部はもう一つの狙いがあると見る。それが「特定抗争指定の解除」だ。 ’19年秋、神戸山口組幹部や組員らが射殺される事件が続発するなど対立抗争が激化し、一般市民の巻き添えも懸念された。警察当局は対立抗争を押さえ込むため、’20年1月に双方を暴力団対策法に基づいて特定抗争指定暴力団に指定した。神戸市や大阪市、名古屋市など双方の多くの拠点がある地域を警戒区域に設定。おおむね5人以上で集まると即座に逮捕することができるほか、事務所などの使用禁止など厳しく規制している。 こうした状況下で六代目山口組は宣誓書を提出した。警察当局の捜査幹部は、 「宣誓書を提出して片方が終結を宣言したところで手打ちにはなっていない。特定抗争指定はしばらく継続して状況を見極めていくことになるだろう」 との見方を示している。 人事については「今年の夏で六代目体制20年となる。ここで七代目のお披露目となることも考えられる」と語る。ただ、竹内は六代目山口組傘下の中核組織・弘道会会長でもある。司、髙山も出身母体は同じ。組長の司、若頭の竹内、相談役の髙山と事実上のスリートップが弘道会出身者で占められることになる。「こうした人事について内部で疑問視する動きがないわけではない」とも指摘しており、警察当局は動向を注視している。 山口組は1915年に創設された。それを祝うべく100周年となった’15年に分裂、抗争状態となった。110周年となる今年、分裂を完全に解決し七代目体制の発足となるのか。大きな節目を迎えている。(敬称略) 取材・文:尾島正洋

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