昨年4月、青森県七戸町の土中から同町の谷名幸児さん=当時(54)=の遺体が見つかり男女5人が逮捕、起訴された事件で、加害目的略取、監禁の罪に問われた同町中野、無職A子被告(39)に青森地裁(藏本匡成裁判長)は30日、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)の有罪判決を言い渡した。 A子被告はこれまでの公判で、被害者方のインターホンを押したのは事実-としつつ、「略取、監禁の計画は知らなかった」と主張。争点は共同して犯罪を実行する「共同正犯」が認められるか否かだった。 藏本裁判長は、5万円と不合理に高い報酬を受けておびき出す役割を引き受けたことや、主犯とされるB男被告(48)=傷害致死罪などで起訴=らが暴行を加えているのを目撃しても止めたり、警察に通報したりしなかった点に触れ、「略取、監禁について黙示的に意思の連絡があった」と説明。「未必の故意による共同正犯」が成立するとして、弁護側の主張を退けた。 量刑理由で、「(暴行を加えようとする)B男被告らが待ち受ける場所まで誘導しており、果たした役割は大きい」と非難。一方で、あくまでB男被告の指示の下「従属的な立場であった」とし、執行猶予が相当とした。 判決によると、A子被告は昨年1月7日夜、谷名さんに危害を加える目的でB男らと共謀。A子が宅配業者を装って谷名さん方を訪れ、外に出た谷名さんをB男らが暴行し、C男被告(46)=同=が運転する車に無理やり乗せて連れ去った。