元経産省官僚で内閣官房参与も務めた慶大大学院教授の岸博幸氏は4日、TBS系「サンデー・ジャポン」(日曜午前9時54分)に出演し、川崎市内の住宅で一部白骨化した遺体が見つかった事件で神奈川県警が3日、死体遺棄容疑で男を逮捕した事案について、県警の対応を厳しく批判した。 今回の事件では、ストーカー被害を受けていたアルバイト岡崎彩咲陽(あさひ)さん(20)の元交際相手、白井秀征容疑者(27)が3日、滞在先の海外から帰国したところ任意同行を求められ、同日夜、同容疑で逮捕された。容疑を認めているという。逮捕容疑は昨年12月20日ごろから今年4月30日、川崎市の自宅に岡崎さんの遺体を遺棄した疑い。県警は4月30日、ストーカー規制法違反容疑で白井容疑者の自宅を家宅捜索した際、床下にあったバッグから遺体を発見。司法解剖では、焼かれたような痕跡も確認された。県警は3日、遺体は岡崎さんと確認されたと発表した。 一方、岡崎さんの家族は、ストーカー被害を訴えていたにもかかわらず、これまでの警察の対応が適切ではなかったとして「警察の捜査が間違っていたから娘が亡くなった」と批判している。警察側は当初、岡崎さんからストーカー被害の相談を受けた認識はなかったとの立場を説明。当初の対応に問題がなかったかどうかは、今後の捜査で全容を解明することで確認するとしている。 番組では、「(去年12月)20日にいなくなって、それからずっと連絡が取れなくて警察にも届けを出したが『事件性がない』と言われた」とする岡崎さんの父親のコメントを報じた。MCのお笑いコンビ、爆笑問題の田中裕二に「警察の対応がどうだったのかというのは、ちょっと(具体的な)説明が欲しいですよね」と問われると、岸氏は「説明がなかったら大問題だと思いますよ」と指摘。「(被害者が)これだけ、警察に行方不明になる前から連絡していて、かつ(身を寄せていた)祖母の家の窓が割られていたのは、明らかに外から入る手口だと思いますから、これで『事件性がない』ということはあり得ないと思います」と断じた。 「警察が言っている『必要な対応はやってきた』ということも、まったく信用できませんから。ちゃんと説明してもらわないとだめですね」とも述べた。 今回の事件では、被害者が身を寄せていた祖母宅の窓ガラスが割られたとして祖母が警察に通報したが、祖母は報道陣の取材に、警察から「事件性はない」との対応を受けたという趣旨のコメントをしている。 爆笑問題の太田光が「『事件性』というより、窓ガラスが割られたことはすでに事件」と述べると、岸氏も「間違いなく事件ですよ。中からああいう割れ方をすることはありませんから」と応じた。 「ストーカーと関係なくても、ああいうことがあったら捜査をしてもらわなければ困ります」と太田が述べると、岸氏は「それは当たり前です。それをやらずに『必要な対応をやった』なんて、だれも信じませんよ」と怒りをにじませた。