突然訪問のリフォーム悪質業者に要注意 摘発業者はSNSで札束投稿

SNSに派手な生活を投稿して「スーパーサラリーマン」を名乗っていた男が逮捕・起訴された事件は、建設業の許可を受けずに500万円以上のリフォーム工事を請け負ったとされる。住宅に押しかけて法外な工事費を取る「点検商法」による被害が後を絶たないなか、現状を探った。(三井新、西岡矩毅) 警視庁などによると、3~4月に建設業法違反容疑で逮捕・起訴された男(49)=東京都渋谷区=は複数のリフォーム会社の実質的経営者だった。2023年8~11月、建設業許可を取得していないのに、神奈川、千葉両県や東京都内の一戸建ての住人に「瓦がずれている」などと持ちかけ、530万~693万円のリフォーム工事を請け負っていたとされる。500万円以上だと国などの許可が必要なため、契約書を分割して500万円未満を装うこともあったという。 捜査関係者などによると、男は「スーパーサラリーマン」と名乗り、SNSで札束や高級車の映像を投稿しては「本気で金を稼ぎたい人」「売上は過去最高を毎月更新」などと書き込み、従業員を募っていた。多くは突然住宅を訪問してリフォーム名目で工事をもちかける点検商法で、歩合制で高齢者宅などへの「営業」を競わせていたという。 ■売上は5年で100億円以上 警視庁が調べたところ、男らがリフォームの依頼者から得ていた代金は、他社と比べて基本的に倍以上とかなり高額だった。警視庁は、代金のうち実際に工事にかかった費用は3割程度だったとみている。売り上げは19~24年に関東地方で100億円以上という。 国民生活センターによると、昨年度の訪問販売によるリフォーム工事に関する相談は9279件。ここ数年、年1万件前後で推移しているといい、悪質業者による被害は絶えない状況だ。 ■被害者の7割近くが高齢者 警察も点検商法への取り締まりを強化する。警察庁によると、昨年1年間に全国で摘発された点検商法事件は前年比28件増の66件で、統計を取り始めた2010年以降で最多だった。昨年摘発された事件の被害者141人のうち、65歳以上が7割近くを占めた。 摘発件数は増えたものの、「詐欺罪での点検商法の立件は必ずしも簡単ではない」(捜査関係者)という。悪質な業者が不必要な工事をしたとしても、工事が終わった後に不必要だったと証明するのは難しいためだ。

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