東京メトロ南北線東大前駅(東京都文京区)の切りつけ事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された無職戸田佳孝容疑者(43)が、警視庁の調べに「母親に金を振り込むように頼んだが、もらえなかった」と話していたことが捜査関係者への取材でわかった。逮捕後の調べで「教育虐待を受けた」などと動機を供述していたが、背景には経済的な困窮もあったとみて同庁は調べている。 同庁によると、戸田容疑者は7日夜、駅で電車に乗ろうとした男子大学生(20)の頭部を刃物で複数回切りつけ、殺害しようとした疑いがある。この大学生とは面識がなく、無差別的な犯行だったとみられ、逮捕から数日後には「教育虐待を受け、不登校になり苦労した。東大を目指す教育熱心な親たちに度が過ぎると、私のように罪を犯すことを世間に示したかった」と話したという。 幼少期の経験を犯行の動機とした一方で、当日に長野県から上京した理由を「生活が立ちゆかなくなった」とも説明。戸田容疑者は名古屋市出身。関係者によると、事件の数年前まで東京都中野区で生活し、2022年に長野県生坂村の空き家へ移って1人で暮らしていた。