平成22年10月に神戸市北区の路上で高校2年の堤将太さん=当時(16)=が刺殺された事件で、大阪高裁は20日、当時17歳だった男(32)側の控訴を棄却し、1審に続き2審でも懲役18年の判決を言い渡した。閉廷後、堤さんの遺族が会見を開き、割り切れない思いをにじませつつ、「とにかくほっとした。ちょっとゆっくりしようと思う」と話した。 控訴審で弁護側は、事件当時の少年法に基づけば、有期刑の上限は15年だと考えるべきで、量刑が重すぎると主張。これに対し高裁は、裁判時に成人となった被告に有期刑を選択する場合、上限を20年とする刑法に基づき量刑を検討すればよいとの判断を示し、弁護側の主張を退けた。 将太さんの父、敏(さとし)さん(66)は「懲役18年でも決して納得できるものではない。二度と社会に出してほしくないのが本音。でも、これが限界かな」と複雑な思いを吐露。控訴審では被告に出廷義務がないが、姿を見せなかったことに「司法をなめている」と怒りをあらわにした。 「一人でも被害者、加害者を減らしていきたい」。敏さんはそんな思いで、各地で自らの事件について講演を行ってきた。これからも活動を続けていくつもりだといい、「それが将太に対してできることなんかな。もう帰ってこないですからね」とかみしめるように言葉をつないだ。 判決によると、被告は22年10月4日夜、神戸市北区の路上で、殺意を持って面識のない将太さんをナイフで複数回突き刺すなどし、失血死させた。被告は直後に転居するなどしていたが、事件から11年近くが経過した令和3年夏に逮捕された。