大川原化工機社長らに警視庁と東京地検幹部が謝罪 逮捕などを「違法」とした判決確定受け

噴霧乾燥機の不正輸出容疑で社長ら3人が逮捕され、後に起訴が取り消された精密機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)を巡る訴訟で、逮捕・起訴を違法とした東京高裁判決が確定したことを受けて20日、警視庁と東京地検の幹部らが同社を訪問し、社長らに直接、謝罪した。 警視庁の鎌田徹郎副総監と東京地検の森博英公安部長らが同社本社社屋を訪れ、原告の大川原正明社長、元取締役の島田順司さんと面会。「ご心労ご負担をおかけし申し訳ありませんでした」などと述べ、それぞれ10秒程度、深々と頭を下げて謝罪した。 大川原社長は「謝罪がもっと早くあれば」とした上で十分な検証と再発防止を求め、「いい組織、警察・検察にしていただきたい」と述べた。同社の元顧問で、勾留中に判明したがんで死亡した相嶋静夫さん=当時(72)=の遺族は、まだ謝罪を受け入れる状況にないなどとして同席しなかった。 警視庁と検察はそれぞれ、捜査の問題点などの検証を始めている。謝罪の場では同社側から、検証チームに第三者を入れることなどを求める要望書も手渡された。終了後、警視庁の検証チームのトップも務める鎌田副総監は、「緻密な捜査が徹底されていなかった。まさに今検証しており、丁寧に、予断を持たずに行っていきたい」と述べた。地検の森公安部長は要望書について「検察庁に持ち帰って検討したい」と語った。 5月の東京高裁判決は警視庁と地検が必要な捜査を怠ったなどとして、逮捕・起訴を違法と認定。東京都と国に計約1億6600万円の賠償を命じた。

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