ブラジリアン柔術が趣味の駅員「組めば勝てると追いかけた」 関節技で痴漢現行犯逮捕

京都府警向日町署は、電車内での痴漢の容疑者逮捕に尽力したとして、阪急電鉄の駅員ら2人に感謝状を送った。人工知能(AI)が会話形式で自動応対する同社の「チャットボットサービス」で助けを求めた被害者をAIと人の連携プレーで迅速に救った。 表彰を受けたのは、長岡天神駅営業助役の延命寺誠さん(46)と、交通ご案内センターの川本愛理さん(51)。5月28日午後3時ごろ、電車内からチャットボットを通じて「痴漢されている」と被害女性(31)のスマートフォンから連絡があり、応対した川本さんが次の停車駅の長岡天神駅へ連絡。停車した電車に延命寺さんが乗り込み、容疑者を現行犯逮捕した。 同社によると、チャットボットでは忘れ物や遅延情報などを問い合わせることができる。痴漢の通報は想定していなかったが、女性はAIとやりとりをして「オペレーターへ接続」というボタンを押し、文字でセンターの川本さんに状況を伝えた。 川本さんは、乗車位置を聞き取った後、「心配しないで」「しばらくこのままチャットをつなげておきます」などと不安を和らげようとメッセージを送り続けたという。 延命寺さんは、停車した車内で容疑者を発見。一時は容疑者が線路上へ降りて逃げたものの、追いかけてフェンス際で取り押さえた。延命寺さんは2年ほど前から趣味でブラジリアン柔術をしているといい、容疑者の逃走時も「『組めば勝てる』と思って追いかけた」。他の乗客からは鮮やか過ぎる関節技に驚く声も聞かれていたという。 23日の感謝状贈呈式で、川本さんは「文字で事案に対処するのは初めてだった。旅行中の女性が無事に帰宅できたと聞いて安心した」と話した。延命寺さんは「仕事の範囲で当たり前のことをしたまで。表彰されたことを今後も生かしていけるようにしたい」と語った。

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