いわき官製談合…「貸し借り」関係なれ合い体質に、内部統制機能せず

いわき市水道局の工事入札を巡る官製談合事件は、官製談合防止法違反などの疑いでいわき市水道局工務課技術主任、真山佳幸容疑者(34)=同市泉ケ丘2丁目=らが逮捕されて、25日で1週間となった。真山容疑者と不正に工事を落札したとされる同市の管工事会社「大松興産」の役員は仕事の場に加え、私有の電話でも連絡をとっていた。こうした職員と業者間の「なれ合い体質」に加え、水道局の内部統制が機能していなかったことが事件の背景にあるとの指摘もある。 真山容疑者が、公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕された大松興産社長松原文司(74)=同市小名浜字定西、息子で取締役松原文隆(48)=同=の両容疑者に設計金額などを漏らしたとされるのは、2024年1月の平下平窪配水管改良工事の一般競争入札。予定価格の基になる設計書の積算に誤りがあったにもかかわらず、同社が最低制限価格と同額の5070万7453円で落札した。 情報漏えいの疑惑を受けて、水道局が設置した調査確認委員会の委員長を務めた緑川猛彦氏(福島高専副校長)は「仕事を通じて、なれ合いが生まれ、情報漏えいなどの違法行為への認識を甘くさせていた」と指摘する。「なれ合い」の温床となったとみられるのが、個人用携帯電話の使用だ。職員は漏水による水道管の補修など休日の対応も迫られるが、業務用の携帯電話を貸与されておらず、個人所有の携帯電話で業者と連絡を取らざるを得なかった。 捜査関係者によると、真山容疑者は文司、文隆両容疑者と仕事を通じて知り合い私有の携帯電話で連絡を取っていた。こうした電話の頻度なども調べている。内田広之市長は、真山容疑者の逮捕を受けた水道局職員に対する訓示の中で、「特定の業者の方と、時には困った時に、土日とか休日とかに対応してもらったり、難しいことをやってもらったり、そういう仕事の中で貸し借りができてしまったりすることもあると思う」と語り、職員と業者の関係性のあり方が課題だとの考えを示した。 情報漏えいの疑惑を受け、調査委が職員を対象に実施したアンケートでは、2割超の職員が外部から不正行為につながるような要求を受けたことがあると回答した。水道局では外部から働きかけがあった場合に上司への報告を義務付けていた。しかし、関連要綱を定めた2008年からこれまでに報告されたことはなく、内部統制が機能していないことが浮き彫りとなった。緑川氏は「誰かが一線を越えることがないよう、法令順守の意識付けを繰り返し高めていく必要がある」と強調した。

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