[香港 29日 ロイター] – 香港の民主派政党「社会民主連盟」(LSD)は29日に記者会見を開き、解散することを発表した。これにより、香港で活動する民主派団体は皆無になった。中国が2020年に施行した反体制活動を取り締まる国家安全維持法(国安法)を受け、5年間にわたって「巨大な政治的圧力」を受けてきたことを解散理由に挙げた。 陳宝瑩主席は解散以外の「選択の余地がなかった」と強調し、メンバーらの安全を考慮して活動停止を決めたと語った。陳氏は具体的にどのような圧力を受けたのかについては明言を避けた。香港で過去2年間に解散した主要野党はLSDで3つ目となった。 香港では政治団体や市民団体が主催する大規模な市民集会やデモ行進が2020年までは多く実施されていたが、国安法の施行後は参加者が訴追されることへの脅威から組織的な抗議活動がほとんど封じられた。 LSDは2006年、梁国雄・元立法会議員(69)らが設立した。梁氏ら民主派47人は国安法に定めた国家転覆の共謀罪に問われて21年に逮捕、起訴され、梁氏は6年9カ月の禁固刑を受けて服役している。メンバーの岑子傑氏もこの際に収監され、今年5月に釈放された。 LSDのメンバー3人は当局の許可を受けずに何も記していない黒い布を路上で掲げ、募金を呼びかけるブースを設けたとして、今年6月12日に裁判所から罰金刑を受けた。陳氏は記者団に対し、LSDは23年にいくつかの銀行口座が閉鎖された後、売却する資産も資金も残っていないと打ち明けた。