【社説】警察の取り調べを拒んだ尹前大統領、厚かましいにも程がある

尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領は28日の内乱特検の調査で、自分を逮捕した警察幹部に取り調べを受けるわけにはいかないと言って拒否した。これに先立ち、特検の出頭要求に対し「違法な手続き」だと難癖を付けたことと同じように、特検の捜査を無力化しようとする思惑だ。検察の捜査を受けた元大統領たちは、文句を言わず取り調べを受け、国民に謝罪した。尹前大統領は謝罪どころか幼稚な「法律テクニック」で何とか特検の捜査を免れようとする態度を見せている。検察総長と大統領を務めた人がどうしてここまで拙劣なのか。 尹前大統領は28日午前10時ごろから15時間にわたり内乱特検の調査場にとどまったが、実際取り調べを受けた時間は5時間に過ぎなかった。最初の取り調べを担当した警察庁重大犯罪捜査課のパク・チャンファン課長(総警=日本の警視正に相当)の取り調べを、午後に入って突然拒否したためだ。尹前大統領は1月15日に自身が漢南洞(ハンナムドン)の公館で逮捕されたことが「不法な逮捕状執行」だと主張し、関連者を不法逮捕疑惑で告発した。パク総警も関係者であるため、被害者である自分を取り調べるのは不当だということだ。ところが、当時の逮捕状執行の主体は高位公職者犯罪捜査処(公捜処)であり、パク総警は尹前大統領ではなく、キム・ソンフン前警護次長の逮捕状執行を指揮した。何よりも不法逮捕という主張自体が理屈に合わない。事実関係が全く合わない詭弁だ。特検捜査を妨害しようとする意図としかみられない。 尹前大統領はソウル中央地検長時代、李明博(イ・ミョンバク)元大統領とヤン・スンテ元最高裁長官などを捜査する際、「法のもとでの平等」を強調した。地位にかかわらず、聖域なしに原則どおり捜査すると述べた。ところが、いざ自分が取り調べを受けることになると、あらゆる特恵を要求している。口先だけで「堂々と捜査を受ける」と言いながらあれこれ言い訳を並べている。 尹前大統領は特検に出席する際、国民に謝罪しなかった。朴槿恵(パク・クネ)、李明博など検察に呼ばれた元大統領らは「国民に申し訳ない」、「私を信じて支持してくれた方々に大変申し訳ない」とし、形式的ではあるものの国民に謝罪した。国民多数の選択で選出された最高権力者が捜査を受けることは、いかなる理由であれ国家的な恥さらしだ。容疑を認めるかどうかは別として、自分を大統領に選んだ国民に謝罪することは最小限の道理だ。尹前大統領は12・3内乱で憲法裁判所によって罷免されたにもかかわらず、これまで国民に謝罪の一言もなかった。ここまでの厚かましさは見たことがない。チョ・ウンソク特検は、尹前大統領に法の厳重さを思い知らせてほしい。 (お問い合わせ [email protected] )

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加