6月16日、人気アイドルグループ『JO1』の鶴房汐恩(24)が、オンラインカジノを利用した賭博容疑で、警視庁に書類送検された。騒動を受け、所属事務所は鶴房に対して10日間の活動自粛処分を課したと発表している。 「鶴房は’23年1月ごろからオンライン上で賭博を行うようになったそうです。’24年8月末までの期間に約1500万円を賭け、710万円の損失を出したとみられています。警視庁の取り調べにも素直に容疑を認め、『軽い気持ちだった』などと発言したといいます」(全国紙社会部記者) 今年に入り、有名人のオンカジ利用によるトラブルが後を絶たない。お笑い界では吉本興業所属芸人を中心にオンラインカジノ使用を巡り、活動休止などが続出。M-1王者『令和ロマン』の髙比良くるま(30)が事務所から独立する騒動にまで発展した。スポーツ界でも、プロ野球で利用者が相次いで発覚。巨人のオコエ瑠偉選手(27)や西武の外崎修汰選手(32)が書類送検された。6月下旬のフジテレビの有名プロデューサーが逮捕された件は記憶に新しい。 お笑い界、野球界、そして今回のアイドル界--。オンカジ汚染は広がる一方だが、こうした有名人の摘発は、氷山の一角に過ぎない。その裏には、業界関係者の間で“オンカジ版のガーシー”とささやかれる謎の女性・X子の存在がある。 摘発された有名人たちの多くは、取り調べに対して「動画サイトでCMが流れていたこともあり、違法性はないという認識だった」と答えている。確かに、一時期は有名スポーツ選手が出演するCMがユーチューブなどで流れていたこともあり、それらがオンカジ参入のハードルを下げていたのは間違いないだろう。 しかし、紹介により高レートのオンカジにハマっていく有名人もいる。芸能人やアスリートをオンカジに誘導しているのがX子なのだ。彼女はオンカジのやり方から、勝ち分の振込先の口座の用意まで幅広いサポートを行う。そのため、単なるアテンダーには収まらない“ジャンケット(紹介屋)”として、彼女の元でオンカジを行う有名人は後を絶たない。 ◆飲み会の延長で始まる“沼の入り口” 業界内で数多くの有名人にオンカジを紹介しているというX子とは一体どんな人物なのか。彼女は30年ほど前に闇カジノなどの賭場に出入りするようになり、コロナ禍の前後でオンカジのジャンケット活動を始めた。表向きは東京・港区に高級飲食店を構える40代後半のママという顔を持つ。しかしその裏では、店を訪れる客のなかからターゲットを選んで声をかけているという。 「最近ちょっと面白い遊びがあってさ。負けても大丈夫よ、私がカネを貸すから」 そうした誘いに乗ってしまえば最後。気づけば何十万、何百万円ものカネがスマホの中で消えていく。 オンカジが摘発された際に足が付くきっかけになるのが、登録されている銀行口座情報だ。そのリスクを避けるため、カジノからの振り込み用の口座は彼女が用意し、有名人たちへの支払いは店の個室の中で、現金で行うという。さらに勝てば、X子が「お小遣い」として色をつけた金額を支払ってくれるといい、たとえ負けても、その場ですぐにカネを貸してくれる……。そんな“姐さん”の存在が、中毒性を加速させるのだという。 X子の「顧客リスト」は多岐にわたる。40代の実力派俳優・Tは、20年ほど前から遊んでいるかなりのギャンブル好き。X子とはもともと、海外のカジノで遊ぶ仲間だったというが、気がつけばX子の店に入り浸り、客となっていった。今では彼は気づけば数百万単位の“借金”が積み重なっているという。 プロ野球の有名OB・Nや監督経験者・Tの名前もあるという。両者とも20〜30年前からギャンブルに興じていたが、闇カジノの出入りが厳しくなった4〜5年ほど前に、X子経由でオンカジにハマった。とくにNは1回のゲームで2000万〜3000万円の負けを繰り返しているという。またTは、自身で遊ぶことはもちろんスポーツ界から十数人ほどの客を流している。ここ数年で球界に利用者が急増したのは、彼が原因かもしれない。 さらに30代の元国民的アイドル・Kに至っては、コロナ辺りからX子の“弟子”として、「姐さん、次はあの子を連れていきますよ!」と、芸能関係者や企業の社長などをX子につなげるハブ役になっている。 負けが込んでいる客には韓国やマカオのカジノ、国内のアミューズメントカジノ等の社交場で接待をする、というアフターケアを欠かさないことも、X子が長年にわたり業界で生き延び続けている要因だ。そして、騙されたと知らない利用者たちが、別の新しい“お客さん”を連れてくるという流れが出来上がっている。 警察は利用者だけでなく、今後はジャンケットや胴元への本格摘発に乗り出すべきだ。利用者のみを取り締まっているだけでは、問題を根源から絶つことはできない。そして何より、利用する側も危機意識をもたなければならない。「知らなかった」で済まされる時代では、もはやないのだ。