2025年3月、熊本のある女性のもとに「徳島県警」をかたる、詐欺とみられる電話がかかってきました。 男が名乗ったのは「徳島県警のイマダ」。 勝手に名前を使われた徳島県警が注意を呼び掛けています。 3月24日、熊本のテレビ局スタッフの女性に仕事中、1本の電話がかかってきました。 (男) 「徳島県警のイマダです」 表示された相手の電話番号は、下4桁が「0110」。 警察署で使われる番号です。 動揺する女性に、男はLINEからかけ直すと言い、アカウントを聞き出しました。 すると、折り返しかかってきたLINE電話には「検察庁管理」の文字、怪しいと気付いた職場の同僚が、この通話の一部始終を撮影していました。 (男) 「あなたの口座にお金を振り込まれてしまってる方が、いっぱいいらっしゃるということで、お話が上がってます」 (女性テレビ局スタッフ) 「でも口座には、振り込みはないんですけども…」 (男) 「だからこちらで押収している口座に関してです。〇〇銀行の口座に、6000万円以上のお金が振り込まれていて、被害に遭われている方が19人もいらっしゃるんですよ」 男は、女性の銀行口座が詐欺に使われていると告げ、捜査に協力するよう求めました。 女性が身に覚えがないと答えると、男は「来ないと身柄を拘束する」と、今すぐ徳島まで来るよう強い口調で要求してきました。 (男) 「1時間、2時間で終わる話じゃないんですよ。しっかりお休みを取っていただいて、今職場にいらっしゃるということなので、早退してお話を聞かせてください」 「誰か今、一緒にいますよね?」 (女性テレビ局スタッフ) 「いないです。1人だけの個室です」 (男) 「声が聞こえましたよ、今」 男は女性に対し、会社から出て1人になるよう繰り返し要求してきました。 女性は徳島に向かうのは無理だと訴え、こう提案しました。 (女性テレビ局スタッフ) 「徳島県警さんとのやり取りだけになるんですか?熊本の警察に行ってお話しするとかはダメなんですか?」 (男) 「捜査権というのが、こちらの徳島県警の方にありますので、熊本の方に行かれても意味がないんですよね」 「こちらの方に出向いていただく話になりますから」 「徳島県警に捜査権がある」として、男は熊本の警察には行かないよう念を押しました。 通話を続けながら、同僚に促されて移動する女性。 向かった先には、110番通報を受けて駆け付けた本物の警察官が。 通話はそこで切れました。 不審な電話で勝手に名前を使われた徳島県警に、何と本当に今田さんという人物がいました。 (徳島県警・今田 充昭巡査部長) 「私は、徳島県警の今田と申します」 「徳島県警の職員が、そのような電話をすることはあり得ないことです」 本物の「徳島県警 今田さん」は、近年多発する詐欺被害について、こう注意を呼びかけます。 (徳島県警・今田 充昭巡査部長) 「近年、警察の名前や警察署を騙る詐欺の被害が発生しております」 今回の電話でも、捜査を口実に、口座情報や現金を騙し取る狙いがあったのではないかと指摘。 県内でも2025年に入り、捜査機関を騙る特殊詐欺の被害が、8件発生しています。 (徳島県警・今田 充昭巡査部長) 「警察ではお金を要求したり、振り込みをするよう依頼したり、そうした話をすることは一切ありません」 「そういう話が出た時点で詐欺だと疑ってください」 刑事課に勤務する今田巡査部長。 自身の名前を使われ、刑事魂に火がついています。 (徳島県警・今田 充昭巡査部長) 「私の名前が使われているということで驚きましたし、看過できません」 「こういった詐欺を撲滅できるよう、徹底して捜査したい」 県警は「警察が『捜査の対象となっている』と告げることや、LINEなどSNSで連絡してきたり、逮捕状を見せたりすることは絶対にない」と、注意を呼びかけています。