米国のドナルド・トランプ大統領暗殺未遂で起訴されたライアン・ウェズリー・ラウス容疑者(59)が判事に送った手紙の内容が公開された。 11日(現地時間)、米国ニューヨーク・ポストによると、ラウス容疑者は6月29日、エイリン・キャノン判事に他国の囚人との交換を希望するという内容を記した手紙を送った。 その手紙には「60歳になるまで愛なく生きてきた人生に一体何の意味があるのか。なぜ死刑が許されないのか」という一文が綴られていた。 続いて「私はハマスの捕虜、イランで拘束された女性デモ隊、ジミー・ライ(香港の民主化運動を支持して国家保安法違反容疑で起訴されたメディアの大物)のような人々と交換されたいと願った。あるいは、ロシアのウクライナ捕虜と交換されてシベリアで凍えて死にたいと思っていた」とし「そうであれば意味ある死を迎えて裁判は起こらなかったはずだ。だが、誰もそうはしてくれなかった」と付け加えた。 ラウス容疑者は「トランプ大統領が私を中国やイラン、北朝鮮のような国に平和のジェスチャーとして引き渡し、不当に拘禁された民主主義の要人を連れ戻せば、簡単に外交的成果を上げることができたはずだ。皆が勝者になれる」と話した。 その後、ラウス容疑者は自身の収容番号と収容場所を記し、「理解と協調に感謝する。このような役立たずの人間1人のために皆の時間を奪ってしまい申し訳ない」と文章を締めくくった。 該当の内容以外にも手紙には弁護人をつけずに裁判に臨むという内容も記されている。ラウス容疑者は「今後、私が自分を弁護する。最初から私のことを全く知らない他人に自分を代弁させたのは愚かなことだった」と語った。 米国メディアによれば、ラウス容疑者は親ウクライナの考えをSNSに多数投稿していた。ウクライナ支援を熱心に主張し、さらに2022年ロシアの侵攻以降には参戦の意思まで表わしていたとされる。 また、自費出版した著書には北朝鮮と台湾、ベネズエラに関する言及もあり、アフガニスタンの政治的状況を触れた上で、アフガン出身難民がウクライナのために戦うべきだという主張も著書で展開していた。 ラウス容疑者はこの他にも2020年自身のX(旧ツイッター)のアカウントに北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を休暇でハワイに招待したいとし、自身が米国と北朝鮮の間の紛争を解決する大使であり連絡担当者になるという趣旨の文章を載せていた。 ラウス容疑者は昨年9月15日、パームビーチのゴルフ場6番ホールで、当時大統領候補だったトランプ氏を暗殺しようと企て待ち伏せしていたところ、偵察中だった大統領警護隊(シークレットサービス)の要員に見つかり、その後逃走してマーティン郡の高速道路を走行中に逮捕された。同年12月、殺人未遂容疑で起訴された。 ラウス容疑者が判決を受ける場合、最大で終身刑を宣告される可能性がある。デイリー・メールによると、今年9月に裁判が開かれる予定だ。