性犯罪は本人だけでなく、家族の人生も大きく変えてしまいます。 警察庁が公表した「令和5年 犯罪統計資料」によると、2023年に迷惑防止条例違反(痴漢を含む)で検挙された件数は全国で約2300件。事件のたびに、離婚や退職、うつ状態など、加害者家族が背負う苦しみは計り知れません。 精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏(西川口榎本クリニック副院長)は、3000人以上の性犯罪者の治療に携わるなかで、加害者家族の苦しみにも長年向き合ってきました。 新刊『夫が痴漢で逮捕されました 性犯罪と「加害者家族」』(朝日新書)では、あまり知られてこなかった“家族の側の現実”が描かれています。この記事では、その中からある家族のケースを紹介します。 ※本記事は、『夫が痴漢で逮捕されました 性犯罪と「加害者家族」』より一部を抜粋・再構成しています。 ※本記事では実際に斉藤氏が関わってきた加害者とその家族についてのエピソードを紹介します。当事者のプライバシー保護のため、個人が特定できる情報は変更しています。なお具体的な性加害の描写も出てきますので、ご注意ください。