「陣中見舞い」はスマートに渡し受け取るのがマナー…元自民議員が告白「私はこうして"お金の感覚"を失った」

「政治とカネ」の問題が繰り返されるのはなぜか。元自民党参院議員で、公職選挙法違反の罪で有罪判決を受けた河井あんりさんは「自民党の政治の世界では、常にお金のやり取りが当たり前のように行われている。数十万、億単位の話を見聞きしているだけで、完全に感覚が麻痺してしまった」という――。 ※本稿は、河井あんり『天国と地獄 選挙と金、逮捕と裁判の本当の話』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。 ■政治の世界での「陣中見舞い」 公認の下りたのが2019年3月中旬であったので、すぐに4月の統一地方選挙が訪れてしまって、私は当面、なんの活動もできない(法律で、自分が出る予定のない選挙が行われている間には、活動をしてはいけないことになっているのだ)。 統一選には私の親しい先生たちもたくさん出ているから、自分の活動ができない代わりに私は、それぞれの選挙事務所に陣中見舞いに行くことにした。選挙事務所には地域の選挙好きな人が集まっているから、自分自身の顔見せという意味にもなる。 この陣中見舞いの際、4名の県議の先生たちに見舞金を持って行ったことで、のちに私は逮捕されてしまった。 このことについて、何をどう言えばいいものか、先ほどから私は考えあぐねている。今まで通り事実だけを述べるつもりであるが、私が何を言っても言い訳がましく、また真実でないように聞こえてしまうのではないかと恐れている。だが、ありのままを述べるのが私の責任である。 ■「自民党の国会議員が手ぶらなんてありえない」 一般的な話として、少なくとも自民党の国会議員が、親しい候補者に対して手ぶらということは考えられない。だいたい国会議員が持っていく金額は10万円以上、色をつけて30万円が相場であろうか。 私はまだ国会議員でもないのに、県議の先生たちに、見舞金を持っていかなければ悪いような気がしていた。私は完璧に業界の常識に染まっていて、全くもって感覚が麻痺していた。本当に申し訳ない。だからまず、どうして私の感覚がズレるに至ったかを話さなければならない。

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