「耳の中をなめまわしたり吸ったり…」当時中学生の被害者が凍った元卓球日本代表の「気持ち悪い」行為

「事件の前までは、もっともっと卓球を強くなろうと考えていたのですが、事件後にはもう卓球が嫌になっちゃったので、勉強でがんばろうというふうに考えが変わりました。自分はすごく夢中になっていた卓球をすべて崩されてしまったので、被告人にも卓球をやめて、しっかり反省して罪を償ってほしいです」 元卓球日本代表でプロ卓球選手でもある小西海偉(かいい)被告(44)からわいせつな行為を受けたという女性・Cさんは、淡々とした口調で、被告人への怒りを伝えたのだった。 「’24年8月20日、埼玉県警蕨署は不同意わいせつの疑いで小西被告を逮捕しました。被告は同月7日、自身がコーチを務める『WEILAI(ウェイライ)卓球スクール』で生徒の母親である40代女性のAさんにわいせつな行為をした疑いがもたれています。また、その約1ヵ月後の9月30日には、’19年6月初旬に同じく生徒の母親であった30代女性Bさんにわいせつな行為をしたとして、準強制わいせつの疑いで再逮捕されています。 『WEILAI卓球スクール』は元オリンピック日本代表選手でもある妻の小西杏さんが運営する卓球教室。検察は、Aさん、Bさん、さらに’23年7月に被害を受けた当時中学生だったCさんを加えた3人に対しての不同意わいせつや準強制わいせつで小西被告を起訴しました」(全国紙社会部記者) 7月14日にさいたま地裁で開かれた小西被告の第3回公判では、被害者Cさんが出廷して証人尋問が行われた。今回も、衝立の向こうから聞こえるCさんの証言を、’04年に中国から帰化した小西被告のために、中国語の通訳が通訳していた。 ’23年、中学生だったCさんは小学校から始めた卓球で優秀な成績をおさめ、もっと上を目指すため、ウェイライ卓球スクールに通い始めたという。 ◆「右耳をなめまわしたり吸ったり」 Cさんは検察官の質問に答えるかたちで、事件が起きた7月下旬の日のことを語り始めた。 「その日、午前9時ごろに卓球スクールに着くと待合室に荷物を置いて、身支度を始めました。練習場内には、私と被告人の二人だけで、ストレッチが終わると、被告人に『うつ伏せになって』と言われました。 そして被告人は、私の背中や肩を押したり揉んだりとマッサージを始めたのです。そのうち、ふくらはぎや太もものほうから手がだんだん上がってきて、パンツの中にまで手を入れ、直接、お尻を揉まれました。すごく驚いて、気持ち悪いなと思いました」 Cさんは、一瞬、これもマッサージなのかなという考えがよぎったが、やはり直接お尻を触るのはおかしいと思ったという。その後、小西被告はCさんの顔の右側に移動してきたと、証言を続けた。 「被告人は、私の顔の右側でしゃがむような姿勢になり、私の顔の前で、人差し指を口の前に立て、シーというポーズをすると、右耳をなめ始めたのです。耳の中をなめまわしたり吸ったりしてきて、とにかく気持ち悪くて、何が起こってるんだという感じでした。そして、耳をなめた後、『よく我慢したね』とティッシュを渡されました」 さらに、起き上がってティッシュで耳を拭いたCさんに、小西被告は「目をつぶって」と言ってきたという。 「一瞬、目をつぶってしまったんですけど、何かが近づいてくる気配がして目を開けました。被告人はまた『目をつぶって』と言ってきたのですが、このままではキスされてしまうのではないか、それだけは絶対に避けたいと思って、首を横に振りました。すると、被告人は『恥ずかしいの?』と言ってきたのです。恥ずかしいわけじゃないけど……と思ったのですが、穏便にすませるため、うなずきました」 そうすると、小西被告は「ここからは集中していこう」と、普段の状態に戻ってシューズを履き始めたという。 自宅に帰ると、あまりの気持ち悪さから、洗面台で耳を洗い続けたというCさん。検察官が「事件後、日常生活に変化はありましたか」と質問すると、次のように事件の影響を訴えた。 「男性と二人っきりになると、今でもすごく怖くなります。被害に遭ったとき、被告人の口から中華料理のにおいがしたので、しばらくの間は中華料理のにおいがすると、気持ちが悪くなりました。夜、寝るときには目をつぶると事件のことがよみがえってきたりしました」 ◆杏コーチにメールで被害を訴えたが… 翌15日には、Cさんの母親が出廷し、衝立の向こうから、帰宅した途端に洗面台で耳を洗い続けるCさんに異常を感じたこと、そして事件のことを知ったときの衝撃を語った。そして警察に被害届を出すことを決意したのは、(小西)杏コーチからのメールだったことを明かした。 「杏コーチに娘が小西海偉にされたことをメールしました。しかし返ってきたメールの内容は、小西海偉がわいせつな行為を一切していないと罪を認めず、謝罪もなく、杏コーチも小西海偉のほうを信じているようでした。もうこれは警察に言うしかないと思い、警察に電話したのです」 努めて冷静に受け答えをしていたCさんの母親だが、Cさんが卓球をやめたことに話が及ぶと、涙声になり、声を震わせたのだった。 「小西被告から性被害を受けて、(娘にとって)楽しかったはずの卓球がものすごく怖いものに変わってしまった……。娘から、大好きだった卓球を奪った小西海偉には、もう二度と卓球の世界に戻ってほしくないです」 小さい頃から練習に励んできた卓球をやめてしまったCさん。 実力に限界を感じてやめたのであれば納得もできるだろうが、コーチからの性被害でやめてしまったという悔しい気持ちはいつまでもCさんの心の中に残るのではないだろうか。 小西被告は5月29日に開かれた初公判では、公訴事実について弁護人を通して、3人の被害者へのわいせつ行為を否認している。Cさんについても「下着の中に手を入れたり、耳をなめたりしていない」と主張していた。次回の公判では被告人質問が行われる。これまで3回の公判で3人の被害者たちの悲痛な声を聞いてなお、小西被告は同じ主張を繰り返すのだろうか。 取材・文:中平良

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加