機械メーカー「大川原化工機」のえん罪事件で、最高検察庁が7日、検証報告書を公表し、「消極証拠の確認や事案の実態の把握が不十分だった」などと結論づけました。一方、捜査に関わった検察官の処分はしませんでした。 最高検が公表した検証報告書では、警視庁公安部の捜査に対し、「補充捜査事項などを指摘する上では、消極証拠などの情報がないか確認し、提供するよう求めることが望ましかった」として、「東京地検公安部副部長、公安部長も、問題意識を十分に持ったり、捜査の方針を慎重に検討したりすることが適切に行われていなかった」としました。 また、起訴した検事については、逮捕後の捜査に入っていた複数の検事らの取り調べなどで「消極証拠の報告を受けていた」としたものの「信用性は乏しいと判断した」としました。 また、担当検察官の異動に伴う引き継ぎが確実に行われていなかったと指摘されたほか、適用された関係法令の解釈について「検察官自ら経産省に確認することが適切だった」としました。 一方、亡くなった相嶋静夫さんの計8回の保釈請求について、一貫して反対意見を述べていたことについては、「病状が生命に直接関わり得る重篤なものであることを容易に把握できた」とした上で、弁護人や拘置所と健康状態などの情報共有し「柔軟な対応をとることが求められていた」とし、「保釈が認められないまま亡くなられるという重大な結果が生じた。改めて心より深くおわび申し上げる」としています。 一方、最高検は、捜査に関わった検察官の処分はせず、最高検の山元次長は「判断は不十分だったが、監督上の措置よりは指導をすることが適切だと考えた」と説明しました。 最高検は、「一地方検察庁の問題ではなく、検察全体の問題」とし、今後、検察官への研修などで情報共有を進めるとしています。