米人権報告書、北朝鮮関連記述半分に…腐敗問題も抜け落ちた

米国が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権に対し「死刑と身体虐待、強制失踪、集団処罰を含む蛮行と強圧を通じて支配力を維持している」と評価した。米国務省が12日に公開した「2024国別人権報告書」を通じてだ。 ただ人権に対する関心が比較的低いトランプ大統領の性格を反映し北朝鮮の人権問題に関する内容はバイデン政権当時にまとめられた報告書に比べ半分に減り、金一族が世襲した北朝鮮の政治体制に対する批判はほとんど扱わなかった。 ◇北の実状は…不法殺害、拷問、人身売買 米国務省は北朝鮮社会を「恣意的や不法な殺害と失踪、拷問」だけでなく「強圧的医療または、心理慣行、恣意的逮捕や拘禁、強制労働を含んだ人身売買、最悪の児童労働」などが起きている所と指摘した。 報告書は「この1年間に北朝鮮の人権状況に大きな変化はなかった。北朝鮮政府は人権侵害を犯した官僚らを識別し処罰するために信頼できるほどの措置をしなかった」と明らかにした。 具体的事例としては、脱北を試みた者などを市民が見守る中で公開処刑したという脱北者の証言、北朝鮮の金委員長が洪水対処に対する責任を問い当局者を処刑しろと指示したというメディア報道などを提示した。また、海外放送を聴取して摘発された市民を強力犯罪者とともに処刑したという韓国統一部の報告書も引用した。 ◇第2次トランプ政権初の報告書…北朝鮮の分量半分に このような表現は毎年発行してきた過去の報告書でも指摘されてきた内容だ。むしろ第2次トランプ政権発足後初めての今回の報告書の特徴は北朝鮮の政治体制などに対する批判が明確に減った点だ。 バイデン政権当時に発表した報告書の北朝鮮の章は2021年が35ページ、2022年が47ページ、2023年が48ページ、2024年が53ページと増え続けた。しかし今年の北朝鮮の章は25ページと半分以下に減った。 毎年指摘してきた政治犯収容実態、政府内腐敗問題などは最初からなくなった。昨年の報告書で「北朝鮮住民は自由で公正な選挙を通じて政府を選択できず野党を許容しない」など金政権の非民主性を指摘していた内容も消えた。 これはルビオ国務長官が他国の選挙制度の正当性や公正性に対し評価するなという指針を下したためという。一部ではトランプ米大統領が朝米対話を再開する可能性に備えて北朝鮮を刺激しかねない部分を意図的に減らしたとの見方も出ている。人権問題は金政権が「内政干渉」としながら極度に敏感に反応してきた分野だ。 ◇韓国の非常戒厳に言及なく…「表現の自由制限」 韓国の人権状況と関連しては表現の自由制限などを主要人権問題に挙げた。報告書は「韓国政府は国家保安法とその他の法律、憲法条項の解釈と施行で表現の自由を制限し、インターネットを通じた接近を制限した」として報道機関とメディア労組が発表した表現の自由制限に対する声明と放送通信審議員会の公正性に懸念を提起した内容などを紹介した。 総選挙が行われた昨年4月に選挙放送審議員会がMBCに対する法定制裁のうち水準が高い「関係者懲戒」を議決した点を上げた。報告書は「メディア労組は放送通信審議員会、選挙放送審議委員会がMBCを公職選挙法違反で不均衡に処罰したと主張した。大気汚染水準を伝えながら大きな青い数字の『1』を放送したのを処罰した事例がある」と言及した。 当時MBCは天気を伝えながら当日の粒子状物質濃度が「1」だった点を伝える過程で青い数字「1」のグラフィックを使ったが、当時与党だった「国民の力」はこの画面が当時野党だった「共に民主党」を連想させるとしてMBCを放送通信審議員会に提訴した。 報告書はまた、昨年2月に始まった政府と医大生・専攻医・インターンの間の医大定員増員をめぐる対立を労働者の権利を侵害した事例として言及した。これに対し政治的大混乱とともに弾劾と早期大統領選挙、国民分裂を引き起こした昨年12月の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の非常戒厳には特に言及しなかった。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加