県警が1~7月に把握した成り済まし詐欺は110件、被害額は8億1346万円となり、統計開始以来、最悪を記録した。警察官を装って相手を信じ込ませる手口が約半数を占め、高齢層の被害が目立っている。「警察官が現金を要求することは絶対にない」の呼びかけを、お年寄りらにあらゆる機会を通じて繰り返し訴える必要がある。団体、企業、町内会などの地域組織も徹底して声をかけ、「総動員」体制で臨みたい。 詐欺件数は前年同期に比べて46件、被害額は7億1084万円それぞれ増えた。犯行形態と対策は「いたちごっこ」の様相を呈し、だましの手法は巧妙化している。電話などで接触した後、LINE(ライン)やビデオ通話を通じて偽の警察手帳や逮捕状を提示し、相手を信じ込ませる。カンボジアで先日、摘発された日本人グループは警察官に似た制服を着用し、ビデオ通話に繰り返し登場して振り込みを求めたとされる。 被害者の半数は65歳以上の高齢者だ。孤立しがちで、情報収集が制約されやすい立場を狙い、心理的に追い詰めて冷静さを奪うという。実際の犯行事例を家庭内で広く共有し、離れて住む親にも注意を促したい。職場でも、被害に遭わぬよう日々の朝礼や会議の際に話題にするのも有効だろう。町内会の集まり、近所同士の茶飲みの場でも取り上げ、それぞれの心構えを強めてほしい。