【衝撃】「警察が生理アプリをのぞく?」英国警察の新指針に女性団体が猛反発

英国の警察は、女性が予期せぬ妊娠喪失をした場合、その女性の自宅で中絶薬を捜索したり、生理管理アプリの内容を調べたりするべきという新たな指針を発表した。専門家たちは、この指針に「強く異議を唱える」構え。 全英警察本部長評議会(NPCC)は、死産や流産の原因を調査中の捜査官は、「妊娠に関する女性の知識と意図を確かめる」ために各種デバイスを調べるべきと述べている。 この指針は、コロナウイルス感染症拡大によるロックダウン中に自宅で違法に中絶薬を服用した件で、英国人女性のニコール・パッカー氏が無罪判決を受けてから1カ月も経たないうちに発表された。パッカー氏は自分が妊娠10週目未満と思い込み、医療機関から(電話診療で)中絶薬の処方を受けた。しかし、実際は妊娠22週前後と、医師のいないところで薬による中絶ができる期間を過ぎていた。 女性保護団体Centre for Women’s Justice創設者のハリエット・ウィストリッチ氏は、「これほど意見の分かれる警察の指針について協議が行われていないのは、懸念すべきことです」と『The Times』紙に語った。 「妊娠後期の中絶は多くの場合トラウマ的な経験であり、その女性に立ち入った捜査をするのは、刑事司法機関の限られたリソースのとんでもない無駄遣いと言えるでしょう。本来、刑事司法機関は真の犯罪から国民を守ることに注力するべきです」 「こうした状況下の女性には、個人の尊厳とプライバシーを尊重される権利がある」 英国王立産婦人科学会(RCOG)会長のラニー・タカール氏も、この勧告に衝撃を受けている。「こうした状況下の女性には、思いやりのあるケアを受け、個人の尊厳とプライバシーを尊重される権利があります。自宅や電話、パソコンやヘルスアプリを調べられたり、逮捕されて尋問を受けたりする権利はありません」 NPCCのスポークスパーソンは次のように述べている。「こうした捜査は犯罪活動を示唆する確かな情報がある場合にのみ、大抵は捜査の医療従事者が懸念を示したことをきっかけに行われます。警察は、日常的に予期せぬ妊娠喪失の捜査をしているわけではありません」 「私たちは子どもを失うという経験が非常に複雑で、心に大きな傷を残すことを理解しており、そうした性質の捜査と個人には、常に最大限の気配りと思いやりを持って対応します」 しかしながら、最近は、中絶に関するヴィクトリア朝の法律で捜査および起訴された女性の数が増えている。1861年に現在の法律が施行されてから、違法な中絶で有罪となったケースは3件のみとされていた。ところが、この2年間ですでに6人の女性が違法な中絶を理由に出廷させられている。今年1月には、現行法が「トラウマと虐待」を引き起こしているとして、30以上の団体が英国における中絶の非犯罪化を求めた。 世界有数の生理管理アプリClueのCEO、リアノン・ホワイト氏はユーザーに向けて次のように述べている。「私たちが捜査当局に対して個人の健康に関するデータを開示したことはありませんし、今後も開示することはありません。この問題で非常に多くの人々がセキュリティに不安を感じていると思いますが、顧客のデータを守るのは、10年以上前の創業以来、私たちが一貫して取り組んできたことです」 また、Clueのメンバーは、いつでも個人データの削除を要求することができる。

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