【ニューヨーク=塩原永久】ロイター通信は22日、トランプ米政権が今週中にも、国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)本体への制裁発動を検討していると報じた。すでにICCの裁判官らに制裁を科していたが、本体への制裁措置によってICC全体の日常業務の継続が困難になる可能性があるという。 米政権は、パレスチナ自治区ガザへの攻撃を巡ってICCがイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を発出したことに強く反発。ICCの裁判官や検察官を対象に、米国内の資産凍結などの制裁を発動していた。 ロイターによると、米政権がICC本体に制裁を拡大した場合、ICCによる金融システムへのアクセス遮断や、ICCのITシステムを担う米ソフトウエア企業によるサービス停止といった手段を用いることで、ICCの業務継続に大きな打撃が及ぶ恐れがある。 こうした事態に備え、ICCは今月、職員に年内分の給与を前払いしたほか、緊急協議を開催。米企業に頼らないで済む金融サービスやソフトウエアの代替手段を検討しているという。 ICCは戦争犯罪などに関して個人を裁くことができる国際機関で、日本人の赤根智子所長がトップを務める。パレスチナを含む125の国・地域が加盟。米国やイスラエル、ロシア、中国は加盟していない。