旧統一教会の韓総裁逮捕 尹前政権との癒着疑惑、全容解明へ弾み

韓国の特別検察は23日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)総裁の韓鶴子(ハン・ハクチャ)容疑者(82)を政治資金法違反など四つの容疑で逮捕した。旧統一教会と保守系の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権の癒着疑惑を捜査する特別検察にとっては、事件の全容解明に向けて大きな弾みとなる。 一方、旧統一教会は、信者数が多い日本の法人が今年3月、東京地裁から解散命令を受けた。さらに発祥地の韓国でトップが逮捕される事態が重なり、教団にとって大きな打撃となりそうだ。 特別検察は18日に韓総裁の逮捕状を請求していた。韓総裁は22日にソウル中央地裁で開かれた逮捕状の審査に出席後、ソウル拘置所で結果が出るまで待機していた。同地裁は「証拠隠滅の恐れがある」として逮捕状を発付。韓総裁は逮捕された後、独房に収監された。法務省関係者によるとトイレなどは室内に備え付けられており、シャワーは週に1度だけ使えるという。 旧統一教会は23日の声明で「国民の皆さんに心配をおかけしており、心からおわびする」と謝罪。「捜査と裁判の手続きに誠実に取り組み、真実を究明し、これを契機に教団が信頼を回復できるよう、最善を尽くす」と強調した。 韓総裁は2022年、教団の当時の幹部、ユン・ヨンホ被告=請託禁止法違反罪などで公判中=と共謀し、前大統領の尹錫悦被告(64)=内乱罪などで公判中=の妻や側近に金品を渡した政治資金法違反や請託禁止法違反の疑いがある。 特別検察は、教団側がその見返りに、22年5月に大統領に就任した尹氏に、教団が進める事業などで便宜を図らせた疑いがあるとみている。 聯合ニュースによると、ユン被告の起訴状には、韓総裁の意思に基づいて国家が運営されるべきだとの旧統一教会の理念に基づき、尹前大統領夫妻に接近したと記された。 また韓総裁は、自身が米国で違法賭博をした疑いで当局が捜査しているとの情報を国会議員から入手し、証拠を隠すよう指示した証拠隠滅教唆容疑も逮捕状に盛り込まれた。さらに業務上横領の疑いもあるという。 韓総裁は17日、任意の事情聴取に対し、容疑をおおむね否認していた。 韓総裁は、旧統一教会を創始した文鮮明氏(12年に死去)の妻。文氏の死後、総裁となった。【ソウル福岡静哉】

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