ニューヨーク(CNN) 40年以上にわたり、米ニューヨーク州ロングアイランドで16歳の少女を残忍にレイプ、殺害した犯人は逮捕の手を逃れていた。しかしここへ来て、スムージーのストローから採取されたDNAが殺人犯を有罪にするための重要な証拠になるかもしれないと検察はみている。 テレサ・フスコさんは1984年11月10日に行方不明になった。最後に目撃されたのはその夜遅く、ニューヨーク州リンブルックのホット・スケーツ・ローラースケートリンクから泣きながら出てくるところだった。フスコさんはそこの飲食エリアでの仕事を解雇されたばかりだった。それから約1カ月後、フスコさんの全裸の遺体がリンクから数ブロック離れた森の中で、落ち葉の下に埋まった状態で発見された。検視官は、彼女が紐(ひも)で絞殺され、レイプされたと断定した。 2年後、3人の男がレイプと殺人の罪で有罪となったが、フスコさんを殺害したとみられる男が残したDNAを鑑定した結果、3人は20年前に無罪となっていた。そして今回、新たな容疑者の起訴に至った。 2023年8月、ナッソー郡の捜査官は、被害者から採取したサンプルをヒューストンの著名な研究所に送付し、検査を依頼した。オスラム研究所の最高経営責任者(CEO)、デービッド・ミッテルマン氏はCNNの取材に答え、同研究所がこのサンプルを用いてDNA鑑定を行ったと確認した。その後、連邦捜査局(FBI)の遺伝子捜査担当チームと現地の郡捜査官が容疑者の親族候補を捜索。リチャード・ビロドー被告へと行き着いた。 検察当局は15日、ロングアイランドで静かな生活を送るビロドー被告を24年初頭から監視していたと発表。本人が捨てたスムージーのカップのストローからDNAを採取したと明らかにした。ストローから採取したDNAは、1984年当時の捜査で採取されたDNAと「100%一致」したという。 検察当局は、遺伝子系譜学捜査がどのようにビロドー被告と当該の犯罪を結びつけたのかについて詳細を明らかにしていない。しかしこの高度で比較的新しい捜査手法は、近年の注目を集めたいくつかの事件での犯人逮捕につながっている。 ビロドー被告はフスコさん殺害当時23歳。フスコさんが暮らし、働いていた場所から約1.6キロ離れたところに祖父母と住んでいた。当時被告は捜査員に対し、その地域で移動式のコーヒートラックを運営していると供述していたという。ナッソー郡地方検事のアン・ドネリー氏が15日の記者会見で明らかにした。 現在63歳のビロドー被告は一人暮らし。逮捕前にはウォルマートで夜勤をしていた。ドネリー氏によると被告に犯罪歴はなく、フスコさんの家族や友人にも、生前の彼女と被告に何らかの接点があったと記憶している人はいないという。 ビロドー被告はフスコさんとは面識がなかったと主張。しかしドネリー氏によれば逮捕の数日前、捜査官に対し「当時は殺人を犯しても罰を受けずに済んだ」と語っていたという。 記者会見でドネリー氏は、ビロドー被告の1980年代に関するこの発言に触れ、「今は2025年だから捕まる」と述べた。 ビロドー被告は14日に逮捕され、15日午前、ナッソー郡裁判所で罪状認否を行った。被告は無罪を主張した。11月21日に再び出廷する予定。 ドネリー氏は記者団に対し、フスコさんの死後、DNA技術は大きく進歩したと指摘。「DNAが100%一致すれば、犯人を捕まえられる」と続けた。