ドゥテルテ被告の訴追を継続 ハーグの国際刑事裁判所

ハーグ、オランダ、10月24日 (AP) ― 国際刑事裁判所(ICC)は10月23日、フィリピンのドゥテルテ前大統領の「人道の罪」に対する事件における管轄権への異議申し立てを退けた。ドゥテルテ被告は、在任中のいわゆる「麻薬戦争」の一環として、数十件の殺害に関与した疑いで訴追されている。 80歳のドゥテルテ被告の弁護団は、フィリピンが大量殺害に関する正式な捜査開始前にICCを脱退したため、ICCには手続きを継続する権限がないと主張。 しかし、予備審理パネルはこの申し立てを却下、32ページにわたる決定文で、「締約国は、既に審議中の犯罪容疑に関連する人物を司法から保護するために、ローマ規程からの脱退権を『濫用』することはできない」と指摘した。 検察側は2018年2月、暴力事件に関する予備調査を開始すると発表した。当時大統領だったドゥテルテ被告は、その1カ月後にフィリピンがICCを脱退すると表明。人権活動家らは責任逃れを狙った動きだと指摘した。 正式な捜査は、2021年に正式に開始された。 ドゥテルテ被告は今年3月に逮捕され、ハーグのICCに送致された。本人は人道に対する罪の容疑を全面的に否認している。 ICCは現在、ドゥテルテ被告がダバオ市長時代から大統領在任中にかけて指揮したとされる、超法規的殺害事件を捜査している。犠牲者数については、フィリピン国家警察の発表による約6000人から、人権団体が主張する最大3万人まで幅がある。 *ローマ規程:集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪などの国際的に重大な犯罪を犯した個人を訴追・処罰する「国際刑事裁判所」を設立するための国際条約。 (日本語翻訳・編集 アフロ)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加