福岡市博多区のディスカウントストアで万引きをして確保された後、隙を見て逃走し、追いかけてきた41歳の男性店長をナイフで複数回刺した強盗傷害などの罪に問われた無職の宮永政樹被告(59)。 福岡地裁は10月14日「動機、経緯に同情できるものはない」「一歩間違えればより重大な結果を生じさせかねない、非常に危険な犯行である」と指摘し、懲役7年の判決を言い渡した。 ■「逮捕を免れるため、折りたたみナイフで複数回刺すなど暴行」裁判所が認定 判決によると、無職の宮永政樹被告(59)は (1)2025年1月29日午後2時40分ごろ、福岡市博多区のパチンコ店で菓子パン2点(合計約340円相当)を万引きした。 (2)同日午後2時50分ごろ、福岡市博多区のディスカウントストア「ルミエール東那珂店」で焼酎等3点(合計1016円)を万引きして店外に出た。 その犯行を目撃した保安員に声をかけられ、店の事務所まで同行したものの、午後3時ごろ、保安員と41歳の男性店長の隙をついて事務所から逃走した。 追いかけてき男性店長に制止されたことから、同日午後3時すぎ、「ルミエール東那珂店」が入居する複合商業施設「フォレオ博多」の敷地内で逮捕を免れるため、男性店長に両大腿部等を折りたたみナイフで複数回刺すなどの暴行を加え、加療約1週間の複数の刺し傷を負わせた。 (3)業務その他正当な理由による場合でないのに、同日午後3時すぎ、「フォレオ博多」敷地内にで折りたたみナイフ(刃体の長さ約8.5センチメートル)1本を携帯した。 ■「逮捕を免れる目的の有無」「正当防衛の成否」「責任能力の有無」が争点 この裁判で宮永被告が客観的に各行為に及んだことには及んだことには争いがない。 裁判では強盗傷害事件について (1)逮捕を免れる目的の有無 (2)正当防衛ないし過剰防衛の成否 (3)誤想防衛ないし誤想過剰防衛の成否 すべての事件について (4)責任能力の有無 が争点となった。 ■争点(1)「刺した目的が逮捕行為から逃れること以外にあったとは考え難い」裁判所が認定 福岡地裁(鈴嶋晋一裁判長)は、防犯カメラ映像や目撃者が撮影していた映像を照らし合わせて、事実経過を詳細に認定した。