NBAは、全30チームに対して違法賭博防止のプログラムを推進する模様。10月28日(現地時間27日)現地メディア『ESPN』のシャムズ・シャラニア記者が報じている。 報道によると、リーグは具体的に「インジュリーレポート(負傷者に関する情報)に関する方針」と「全スタッフのトレーニングおよび教育」をそれぞれ見直し、「賭博関与が懸念される活動に対する監視プログラムの強化」を進めるという。 同記者が公開したNBAの見解と思われるメモは以下の通り。23日に逮捕されたテリー・ロジアー(マイアミ・ヒート)に関する過去のスポーツベッティングの履歴を事例に挙げ、現状に対するリーグの懸念が示されている。 「2023年3月の試合でテリー・ロジアー選手の“アンダー”(成績が一定の値よりも下回る方への賭け)に対する異常なベットが行われ、これが合法的な賭博として行われたことによりリアルタイムで検知された事例がありました。しかし、NBAおよび関連リーグの公正性を守るためには、法と規則の観点から取り組むべきことがあると考えています。特に、個々の選手の成績に関するプロップベット(特定の選手の記録などに賭ける形式)は、公正性に関する懸念がより大きく、追加の精査が必要です」 ロジアーとチャウンシー・ビラップス(ポートランド・トレイルブレイザーズのヘッドコーチ、職務停止処分中)の逮捕により、スポーツベッティングに関する事件がスポーツ界を騒がせている。同時に、今回報じられているリーグの見解通り、スポーツベッティングの合法化により競技の公正性を保つことが難しくなっていることも改めて共通認識となっただろう。 アメリカでは、2018年にスポーツ賭博を禁止していた連邦法“PASPA”(プロ・アマスポーツ保護法)の違憲判決が下されたことを皮切りに、スポーツ賭博の合法化が進んだ。リーグもスポーツベッティング企業との提携を開始し、今シーズンから放映権を獲得したAmazonプライムは現地での中継スポンサー第一号としてFanduel社(スポーツベッティング事業者)を選んでいる。 スポーツ賭博の合法化とリーグの提携が進んだことで、スポーツベッティングは既に財務面で重要な土台を築いているようだ。一方、公正性や安全なリーグ運営の観点では課題が山積している。昨年4月には、ジョンテイ・ポーター(元トロント・ラプターズ他)が自身のスタッツや所属チームの勝敗に関するベッティングに不正に関わったとして永久追放処分を受けた。デトロイト・ピストンズの指揮官であるJB・ビッカースタッフは過去に賭博関与者から恐喝行為にあったことを明かしている。 ファンが今後も公正な競技としてNBAを楽しめるためにも、リーグによる早期改善措置を望むばかりである。