束ねた髪、「声が小さい」「表情に変化」 傍聴人らが見た山上被告

安倍晋三元首相銃撃事件で殺人や銃刀法違反などの罪に問われている山上徹也被告(45)の裁判員裁判の初公判が、28日午後、奈良地裁で始まった。山上被告は2022年7月、奈良市で選挙応援中の安倍氏を手製銃で撃ったとして現行犯逮捕され、23年3月までに起訴された。判決は来年1月21日に言い渡される予定だ。 ■山上被告、長く伸びた髪を束ねて入廷 山上被告が5人の刑務官らに囲まれ、ゆっくりとした足取りで入廷した。黒色の上下スウェット姿で、長く伸びた髪を後ろで束ねていた。被告人席と傍聴席の間は、透明の板で仕切られた。 午後2時すぎに開廷すると、裁判長に求められて証言台に立った山上被告は、氏名を尋ねられ、「山上徹也です」と小声で答えた。裁判長は「マイクに近付いて話をしてください」と促した。 名前や職業などを問う人定質問の後、山上被告はいすに深く腰掛け、斜め下を向いたまま、ほとんど身じろぎせずに、検察側の起訴状の読み上げを聞いていた。 ■傍聴した人たちは… 初公判が終わり、傍聴した人たちが奈良地裁から出てきた。 京都市の会社員、井出大貴さん(35)は、日本の歴史を変えた事件の裁判を、同じ時代を生きる人間として見てみたいと考え、傍聴した。 山上被告が「間違いありません」と話したのを聞き、被告なりに事件を受け止めている、と感じたという。検察側の冒頭陳述や証拠調べの間は、「悲しみか怒りかわからないが、表情に変化があった。検察の話を聞こうとしているようだった」と振り返った。 奈良県王寺町の70代女性は、弁護側の冒頭陳述で語られた被告の成育歴を聞き、「旧統一教会が家庭に与えた影響は悲惨。事件を起こしたことは悪いが、社会が背景も認識することが大切なのでは」と話した。 一方、神奈川県逗子市の会社員の女性(55)は「被告は声が小さく、下を向くことも多かった。人ごとだと思っているように見えた」。被告の家庭環境について「大変だったと思う」としつつ、「被告の兄も妹も事件を起こしていない。逆恨みの犯行で、許せないと感じた」と語った。

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