1966年の静岡一家4人殺害事件で死刑とされた後、裁判をやり直す再審で無罪が確定した袴田巌さん(89)の姉の秀子さん(92)が28日、イタリアの首都ローマでの国際会議に登壇した。講演で「巌の身に起こったことが、せめてこの世界から死刑や冤罪(えんざい)をなくすことにつながるよう切に願う」と訴えた。 25日にローマに到着した秀子さんは「世界宗教者平和の祈り」と呼ばれる国際会議の死刑廃止に関するフォーラムに招かれ、自身の経験を証言した。死刑確定後44年たった昨年、巌さんが再審無罪を勝ち取ったことに触れ、「(逮捕から)58年、見えない権力と闘って、真実を求めてきた」と述べた。 また、巌さんが長年の拘禁生活と死刑執行への恐怖から、精神を病んだことに言及。秀子さんは一言一言かみ締めるように、「(巌さんは)心を病み、体も衰えている。しかし、世界のみなさんに支えていただき、無罪を勝ち取った」と語り、感謝を述べた。