未解決事件、全国で360件超 名古屋市の女性殺害事件は容疑者逮捕

名古屋市西区のアパートの一室で1999年に女性(32)が殺害された事件で、容疑者が31日、愛知県警に逮捕された。2010年4月に刑事訴訟法などが改正されたことに伴い、この事件を含め、1995年4月28日以降に発生した事件の捜査に「時間の制限」がなくなった。いまなお捜査が続く事件はいくつあるのか。 95年4月28日~2023年に刑事部長を長とする捜査本部が設置された未解決殺人事件について、朝日新聞が都道府県警や警察庁に取材したところ、今年6月までに事件概要を得られたのは364件あった。このほか、条件に当てはまらないが、未解決の殺人事件を少なくとも5件確認した。名古屋市西区の事件もその一つだ。 この計369件の発生時期を分析すると、7割が1995~2004年の10年間に集中していた。近年は殺人事件の捜査本部の設置数が大幅に減少。未解決事件も2001年の32件をピークに減少傾向にあり、14年以降は0~5件で推移する。 時効が廃止されていなければ時効を迎えていた事件のうち、摘発に至ったケースは名古屋市西区の事件を含めて少なくとも5件確認できた。三重県のホテル従業員刺殺事件(1997年)や栃木県の工務店経営者刺殺事件(98年)、広島県の主婦刺殺事件(2001年)など、DNA型鑑定が摘発の決め手の一つとなった事件が目立つ。 未解決事件の減少について、警察庁は「防犯カメラの増加や、DNA型鑑定などの技術の向上の影響が大きい」とみる。24年までの5年間に捜査本部を設置した殺人などの事件のうち、約9割で容疑者が半年未満で検挙されているという。 防犯カメラなどで容疑者を特定し検挙したのは24年が4万8789件で、5年前の2倍超になった。DNA型鑑定による個人識別の精度も、1996年の「2万3千人に1人」から「565京人に1人」にまで上がった。(板倉大地)

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