東京都文京区にある土地と建物の所有者になりすまし、購入を希望する不動産会社から売買の手付金500万円をだまし取ろうとしたとして、警視庁捜査2課は1日、港区六本木2の職業不詳、石川量英(かずひで)(64)と住所・職業不詳の松本大樹(59)の両容疑者を詐欺未遂と偽造有印公文書行使容疑などで逮捕した。警視庁は、他人の不動産を無断で売却する「地面師」の手口とみて、他にも関与した人物がいないか調べる。 逮捕容疑は2025年6月中旬~8月下旬ごろ、都内の80代女性とその息子が代表の法人が所有する文京区白山にある土地と雑居ビルについて、息子になりすまし、不動産会社代表の男性2人から、土地と建物計10億4500万円の売買契約を締結する手付金として、現金500万円をだまし取ろうとしたとしている。警視庁は2人の認否を明らかにしていない。 警視庁によると、取引の場で、石川容疑者は都内に実在する不動産仲介業者の社員、松本容疑者が80代女性の息子を装い、契約を結ぶ相手の男性2人に偽造した健康保険証や不動産売買契約書の写しを提示。実際の所有者に不動産を売る意思があるという架空の話をして、売買を持ちかけたという。 男性らが、所有者の女性との面会やビルの内見を断られたことを不審に思い、女性本人を訪問。女性から「(売るという)話はしていない」「(松本容疑者の写真は)私の息子ではない」と言われ、うその話だと気づいた。松本容疑者がかたった名前も、女性の息子の実名とは違っていたという。【長屋美乃里】