世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が2日、ソウル中心部で大規模な集会を開き、「我々はカルト宗教ではない」などと訴えた。 専門家によると、市街地で旧統一教会が大規模集会を開くのは比較的珍しいという。総裁の韓鶴子(ハン・ハクチャ)被告(82)=政治資金法違反罪などで公判中=の収監が続くなか、組織の結束を図ったとみられる。 集会には「統一教会の信者であることは幸せだ」「宗教の自由は市民の基本的な権利だ」などと記したプラカードを手にした約1000人が集結。信者が壇上で「我々はカルト宗教ではない! 我々に偏見の目が向けられても決して動揺しない理由をこの場で確認しよう」と訴えると、大きな拍手が湧き起こった。 会場周辺では、教団の教義や歴史などを紹介するパンフレットを通行人に配っていた。 韓国は教団の発祥地だが、日本より信者数は少なく、一般には異端視されることが多い。 旧統一教会を長年にわたり研究してきた釜山長神大の卓志一(タク・チイル)教授は「安倍晋三元首相を殺害したとして信者の家族が逮捕された2022年に危機感を強めて大規模集会を開いたことがあるが、比較的珍しい。今回は、総裁の逮捕で揺らいだ教団の結束を強化する狙いがあるのではないか」と指摘した。 特別検察によると、韓総裁は教団元幹部らと共謀。22年1月ごろ、前大統領の尹錫悦(ユン・ソンニョル)被告(64)=内乱罪などで公判中=の側近の国会議員に1億ウォン(約1080万円)を渡したとされる。特別検察は、旧統一教会が尹前政権側に対し、選挙活動の支援や選挙資金の提供などの見返りに、教団の政策推進への協力を求めたとみている。 韓総裁は起訴内容を否認している。【ソウル福岡静哉】