いわゆる“ブランドイチゴ”のひとつ「桃薫」の苗を無許可で販売したなどとして、12人が警視庁に摘発されました。貴重な品種の農作物の苗や種がフリマサイトで販売されるケースが相次いでいて、農水省も注意を呼びかけています。 淡いピンク色のイチゴ「桃薫」。その名の通り、桃のような芳醇な香りが最大の特徴で、イチゴの中でも人気が高いといいます。 三ツ間農園 三ツ間卓也さん 「桃薫ファンの方がいらっしゃるんで直売で出すんですけども、あっという間に予約が電話で入っちゃいますね。生産者さんが少ないっていう理由で市場に出回らないですね」 「桃薫」は国の研究機構が7年の歳月をかけて開発し、2011年に品種登録されました。取り扱うには、研究機構から許可を得る必要がありますが… 警視庁は「桃薫」の苗を複数回にわたってフリマサイトに出品し、無許可で販売したなどとして、近藤信宏容疑者(64)ら2人を逮捕、男女10人を書類送検しました。 近藤容疑者 「小遣い稼ぎのためにやった」 警視庁によりますと、近藤容疑者はフリマサイトから苗を購入。自宅などで増殖させた苗を、フリマサイトで「桃〇」「T・C」などと「伏せ字」にして出品し、1株およそ150円から1200円ほどで販売していたといいます。 実際にフリマサイトを見てみると。 記者 「『桃薫』とみられるイチゴがたくさん売られていますね」 「桃薫」の苗は流通量が少なく、手に入りにくいため、自家栽培で増やされた苗がフリマアプリなどで無許可で販売されるケースが相次いでいるといいいます。 三ツ間農園 三ツ間卓也さん 「作られた方の許可を得て、認められて扱っているので、それをフリーで扱ってしまうと僕らの価値がなくなってしまいますし。(許可を)無視して使われちゃうと、その品種改良された方々の気持ちが失われちゃうんじゃないかな」 「桃薫」を開発した国の研究機構も… 農業・食品産業技術総合研究機構 「このような行為は生産者に不利益をもたらすだけでなく、わが国の優良品種の海外流出を高める行為です」 農水省は、種や苗を購入する側も許可の有無を確認し、正規販売店のホームセンターなどで購入するよう呼びかけています。