[ワシントン 7日 ロイター] – バイデン前米政権が2024年、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザでの軍事作戦に対する戦争犯罪の容疑を裏付ける可能性のある証拠の存在について、イスラエル軍の弁護士から情報を得ていたことが分かった。元米政府関係者5人が明らかにした。イスラエルが作戦の合法性を主張する中、軍内部で合法性に疑問が持たれていたことになる。 2人の元米政府関係者によると、バイデン前政権末期の24年12月に行われた議会説明まではこうした情報は共有先が限定されていた。情報を受け、イスラエルが意図的に民間人や人道支援要員を標的にしているのではないかという懸念が強まった。 国家安全保障会議で関係省庁が参加した会合が開かれ、対応を巡って議論した。イスラエルが戦争犯罪に加担していると米国が判断した場合、米国の法律に基づき、武器の供給を停止し、イスラエルとの情報共有を止める必要があった。国務省、国防総省、情報機関、ホワイトハウスなどが参加。バイデン前大統領も説明を受けたという。 元米政府関係者3人によると、ガザにおけるイスラエルの戦争犯罪を巡る米国内の議論は、米国が独自の証拠を得ておらず、武器や情報による支援の継続が合法だとする結論に至り、終了した。元高官の一部は、米国がイスラエルの戦争犯罪を正式に認定すれば、武器と情報の支援を停止せざるを得なくなり、イスラム組織ハマスに有利な状況となり、停戦交渉を遅らせる恐れがあると懸念していた。 トランプ大統領らは当時のバイデン政権側から報告を受けたが、今年1月に政権を引き継いだ後、ほとんど関心を示さず、イスラエルへの支援を強めたという。 オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)は24年11月、ガザでの戦争犯罪および人道に対する罪の容疑でイスラエルのネタニヤフ首相と元国防相に対して逮捕状を発行した。