尹前大統領を追起訴 北朝鮮へ無人機飛ばすよう指示か 一般利敵罪

韓国の特別検察は10日、昨年10月に北朝鮮の首都・平壌に軍用ドローン(無人機)を飛ばすよう軍幹部に指示したとして、前大統領の尹錫悦(ユン・ソンニョル)被告=内乱罪などで公判中=を一般利敵罪などで追起訴した。 一般利敵罪は、国の軍事上の利益を害したり、敵に軍事上の利益を与えたりした場合に適用される。 特別検察は、尹被告が「非常戒厳」の宣布条件を満たす「戦時などの国家非常事態」を作るため、無人機を意図的に飛ばし、北朝鮮の反撃を誘発しようとしたとみている。無人機が武力衝突の危険性を増大させ、韓国の軍事上の利益を損なったと判断した。 尹被告と共謀したとして韓国軍の呂寅兄(ヨ・インヒョン)元防諜(ぼうちょう)司令官=内乱罪などで公判中=も追起訴された。特別検察は呂被告の携帯電話のメモを解析。昨年10月、「(北朝鮮の)体面が傷つき、必ず対応せざるを得ない標的。平壌、(北朝鮮東部)元山(ウォンサン)の外国人観光地、金正恩(キム・ジョンウン)(朝鮮労働党総書記)の休憩所」と記していたという。「敵の行動が先だ。戦時または警察力で統制できない状況を作らなければならない」との内容もあった。 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は昨年10月に3度にわたり平壌に無人機が飛来したと報道。写真を公表して「韓国軍の無人機だ」としていた。 特別検察は当初、外国と共謀し自国に対して武力を行使させる「外患」の容疑で捜査したが、北朝鮮と共謀したとの証拠が得られず、一般利敵罪に切り替えて起訴した。 尹被告は昨年12月、当時の野党などを「反国家勢力」と一方的に批判し、これを撲滅するためだとして「非常戒厳」を宣布。今年1月に内乱罪で逮捕・起訴された。【ソウル福岡静哉】

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