斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題を追及し、今年1月に亡くなった竹内英明元県議=当時(50)=の名誉を傷つけたとして、兵庫県警は9日、名誉毀損(めいよきそん)の疑いで、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容疑者(58)=東京都港区六本木=を逮捕し、10日に送検した。死者に対する名誉毀損容疑での立件は異例。竹内氏に関する虚偽の内容をSNSで発信するなどしたとして、竹内氏の妻(50)が県警に告訴状を提出していた。 県警は立花容疑者の認否を明らかにしていないが、捜査関係者によると、演説などで発言したという事実は間違いないとの趣旨の供述をしている。 立花容疑者は逮捕前、発信には真実だと信じる十分な根拠「真実相当性」があるとして、罪にはあたらないと主張していたが、県警は立花容疑者の情報源とされる人物からも話を聴いた結果、発信は事実無根で真実相当性もないと判断した。 逮捕、送検容疑は昨年12月13~14日、立候補していた大阪府泉大津市長選の街頭演説で「竹内議員は警察の取り調べを受けているのはたぶん間違いない」などと発言。竹内氏の死後の今年1月19~20日には、SNSや埼玉県川越市議補選の応援演説で「どうも明日逮捕される予定だったそうです」などと虚偽の情報を発信し、竹内氏の名誉を傷つけたとしている。 ■発信力武器に「口撃」 斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題に端を発する昨秋の県知事選では、立花容疑者はSNS上での強い発信力を武器に斎藤氏の支援を掲げた「2馬力選挙」を展開。根拠が不明確な投稿や過激な発言を繰り返した。亡くなった竹内英明元県議=当時(50)=への「口撃」もその一つ。竹内氏の妻(50)は9日、「これ以上、犠牲者が生まれてほしくない」と訴えた。 「斎藤知事への合法的なサポートをする」。昨年10月24日、立花容疑者は知事選への立候補を表明し、こう息巻いた。選挙戦で批判の標的としたのが、疑惑告発文書問題を調べた調査特別委員会(百条委員会)のメンバーだった。 知事選告示翌日の昨年11月1日には神戸市内の街頭演説で、百条委委員を務めた竹内氏を名指しし「ありもしない噂話を作った」と主張。竹内氏が斎藤氏を陥れたと強調し、その後、自身のX(旧ツイッター)で、疑惑告発問題の「黒幕(主犯格)」は竹内氏だとする文書を公開した。