香港のマンション火災、死者44人に 279人と連絡取れず

香港北部・新界地区の大埔の高層マンションで26日発生した火災で、消防当局は27日、44人の死亡が確認されたと発表した。ほかに62人がやけどなどで病院に搬送されており、279人と連絡が取れていない。現場を視察した香港政府トップの李家超行政長官は「巨大な災害」だとして消火と不明者の捜索に全力を挙げるよう指示した。 火災を巡っては、26日午後2時50分(日本時間同午後3時50分)ごろに発生の通報があり、その後火元のマンションと同じ区画に立つ別の7棟のうち6棟にも燃え広がった。発生から約10時間後の27日未明までに3棟で鎮圧状態になったが、4棟では消火作業が続けられている。 香港メディアによると、香港で起きた火災としては1996年に41人が死亡した九竜地区の商業ビル火災を上回り、過去最悪の規模となった。 マンションは80年代に建設され、32階建てで、8棟に計2000戸が入る。2024年7月から修繕工事が行われていて、外壁に沿って竹で足場が組まれ、保護用の大きなネットがかけられていた。これらの資材が激しく燃え、乾燥した空気と風の影響もあって、速い速度で延焼したとみられている。報道された映像では建物内部も激しく燃え上がり、屋上部分に大きな炎が吹き抜けていた。 安くて軽い竹製の足場は香港の工事現場ではよく用いられるが、燃えやすい欠点がある。当局は今年春、段階的に廃止する措置を打ち出していた。 外壁にかけられた網やビニールなどで防火基準を満たさないものが使われていた疑いがあり、警察は工事を担当した業者の責任者3人を逮捕。工事の防火管理に問題があったとみて捜査を進める。 付近の公共施設には避難所が開設され、住民約900人が身を寄せている。住民らは香港メディアに「あまりに燃え広がり方が速く、何も持たずに逃げるしかなかった」と話した。 中国の習近平国家主席は26日夜、犠牲者に哀悼の意を表し、中国政府の出先機関「香港連絡弁公室」などに対し、消火や救助活動を行う香港当局への支援を要請した。国営新華社通信が伝えた。【台北・林哲平、北京・畠山哲郎】

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